9月12日の明治安田生命J1リーグ第28節で柏レイソルの守護神、キム・スンギュがFC東京の前に立ちはだかった。ホームでの前回対戦は0-4の大敗を喫していたが、そのリベンジに成功するクリーンシート。後半の猛攻を防ぎきって、「守備陣のおかげで守れた」と笑顔だった。

上写真=2試合ぶりにクリーンシートを達成したキム・スンギュ。仲間のおかげと感謝した(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月12日 明治安田生命J1リーグ第28節(@味スタ/観衆4,987人)
FC東京 0-1 柏
得点者:(柏)細谷真大

「0-0の気持ちで続けて臨めたのが良かった」

 FC東京にリベンジ成功だ! 5月15日、ホームでの前回対戦では序盤の7分間の3失点などで0-4で敗れていた。だから、ゴールを守るGKキム・スンギュにとって、アウェーで無失点で切り抜けたこのゲームは大きな意味のあるものになったに違いない。

「以前対戦したときと比べて、守り方が大きく変わったかというと、そういうわけではありません」

 シーズンを通してブレがあったわけではない。その自信があるからこそ、大量失点した前回も必要以上に沈む必要はなかったということだ。

「ただ(前回対戦で)われわれがミスをしてしまったところはしっかり改善できて、今日の試合に臨めたと思います。守備の部分でいえば前から非常に良いパフォーマンスを見せていたので、引き続き今日のような良い守り方ができて良かったなと思います」

 ベースは3-4-2-1の配置だが、1トップの細谷がしっかりとプレスバックしてコースを限定し、2列目が4枚に、最終ラインが5枚になるラインを形成して対抗した。FC東京はパスの出しどころにもたついた。

 開始早々の9分にFC東京のGKとDFの連係ミスを鮮やかに突いた細谷真大が決めて、1点のリードを手にしたから、余裕を持って試合を進めることができた。

「早い時間帯にゴールすることでいい影響があることもあれば、悪影響があるときもあります。でも今日はそこで守りに入るのではなく、0-0の気持ちで続けて臨めたのが良かったと思います」

 ネルシーニョ監督も守備の勝利を強調した。「まず相手のストロングをニュートラルにしていくために、ゾーンごとの守備を徹底して選手たちがやってくれたと思います」。ブラジルトリオが中心になったテクニカルでスピーディーな相手の攻撃を弱体化できたという高い評価だった。

 後半は攻撃の圧力を高めてきたFC東京に対して、キム・スンギュもその「ニュートラルにする」ための仲間のプレーを頼もしく見ていた。

「最後まで体を張ってしっかりと食らいついてくれたことで、自分に飛んでくるボールの数も減ってきました。守備陣のおかげでしっかり守れたのかなと思います」

 これで順位も13位まで持ち上げてきて、降格圏から10ポイント差とひとまずは距離を置くことができた。サンフレッチェ広島、ガンバ大阪、ベガルタ仙台、清水エスパルスとここからは比較的順位の近い相手と連戦だ。FC東京から得た守備の手応えを武器に、この4戦を一気に駆け抜けたい。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE