川崎フロンターレが戦うAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のラウンド16は、韓国での一発勝負だ。9月14日にディフェンディング・チャンピオンの蔚山現代と戦うアウェーゲーム。コロナ禍のためにこの1試合で雌雄を決することになったが、公式会見に登場した鬼木達監督と登里享平は静かに燃えていた。

上写真=ACL前日会見に臨む鬼木達監督と登里享平。昨季王者とアウェーの一発勝負という難しい戦いに勝ちきる意欲を示した(写真◎スクリーンショット)

「乗り越えなければいけない相手」

 蔚山現代は昨季のACL王者だ。川崎フロンターレにとっては相手に不足なし。過去にはこの大会で蔚山現代と6試合を戦って1勝2分け3敗と負け越していて、直近の2019年グループステージでは0-1、2-2と勝てなかったことも、燃える理由になる。

 監督は洪明甫。現役時代にはベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)、柏レイソルでも活躍した韓国のレジェンドだ。もちろんJリーグでは鬼木達監督も対戦していて、縁のある対戦相手だから、まずはリスペクトして戦う。

「自分たちは優勝を目指して来ているので、そのためには昨年のACL王者が相手で難しいゲームになると思いますが、乗り越えなければいけない相手です。勝って帰りたいと思います」

 登里享平ももちろん同じ考えだ。「蔚山は素晴らしいチームです。でも、勝つための準備してきました」と一歩も引くつもりはない。

 韓国メディアに田中碧と三笘薫が移籍したことについて聞かれ、鬼木監督は「ほかにも力を持っている選手がいます」と強調しつつ、「いまは我慢のとき。戦術的なところを含めて一歩ずつやっています」と冷静に回答している。

 そのために選手たちに求めるのが「強気」。

「自分たちの戦い方、強みの部分を出さないと勝てる相手ではないと思います。受けるのではなく自分たちからしっかり攻撃的に戦う、その姿勢を持って初めて、ACLチャンピオンと対等に戦えると思っています。ピッチに立ったあとに強気にできるかが勝負を分けると思います」

 もちろん、ピッチで戦う選手も意思統一ができている。

「自信はありますし、強気で圧倒して勝ちたいと思います」

「一つひとつのバトルに負けないところが勝ちにつながると思います」

 登里は断言した。そして、「ケガをして(韓国に)来ることができない選手も含めて全員で絶対に勝って帰りたいと思います」と一体感を強調するのだった。それこそがこのチームの最大の強みだからだ。

 9月14日20時、「ビッグクラウン」の愛称で知られる蔚山文殊フットボールスタジアムでキックオフ。王者との一発勝負の幕が、間もなく開く。