9月5日のJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦で川崎フロンターレはアディショナルタイムに浦和レッズにゴールを浴びて、ベスト8で姿を消した。83分にはジョアン・シミッチがCKからヘッドで決めてリードを2点に広げ、そのまま勝利へと突き進むはずが、まさかの結末にシミッチもショックを隠しきれなかった。

上写真=ジョアン・シミッチがヘッドで決めて3-1として、仲間に祝福される(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月5日 JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝第2戦(@等々力/観衆4,936人)
川崎F 3-3 浦和
得点者:(川)レアンドロ・ダミアン、山村和也、ジョアン・シミッチ
    (浦)江坂任、キャスパー・ユンカー、槙野智章

「自分たちのチームの力を考えれば余計な2失点」

 ジョアン・シミッチは明らかに落胆し、憔悴していた。9月5日のルヴァンカップ準々決勝第2戦で川崎フロンターレは浦和レッズからアディショナルタイムに同点弾を浴び、アウェーゴールの差で敗退を突きつけられた。

「ミスが起こってしまい2失点しました。ミスはまだはっきり何かとは伝えられないけれど、2失点したのは犯してはいけないミスが起きてしまったということです」

 第1戦の1-1という結果を受けた試合は、8分に先制される不穏なスタート。「立ち上がりが少し良くなかったと思います。その後、時間が経つにつれて自分たちのリズムでサッカーを進めることができたと思います」。その理由は30分すぎからのシステム変更で、自慢の4-3-3から4-4-2に移行、アンカーのシミッチの横には脇坂泰斗が入って中盤のバランスを整え直すなどで、ペースを奪い返した。その成果が、40分に決めた完璧な崩しからの同点ゴール。家長昭博、小林悠、レアンドロ・ダミアンと3人がいずれもダイレクトでボールを動かす「トリプルワンタッチ」で決めてみせた。

 これで息を吹き返した川崎フロンターレは後半も主導権を握り、77分には脇坂の左CKから山村和也がヘッドで突き刺して逆転、そして83分にはシミッチが自らリードを広げてみせる。またも脇坂の左CKに合わせてニアサイドに風のように駆け抜けていって、ヘッドでコースを変えるようにしてゴールへと送り届けた。

 ところが、87分、90+4分に連続でゴールを許し、2点リードからのまさかの敗退…。

「(2点リードのあとは)しっかりとボールを握って時間を経過させなければいけなかったですし、それができなかったところはあります。また、もう少しディフェンスのオーガナイズをしっかりして、試合を勝ち切るところをもっとしっかりやらなければいけなかったのかなと思います」

 87分の失点は、クロスに対するGKチョン・ソンリョンのパンチングがジェジエウに当たってはねて、それが浦和のFWキャスパー・ユンカーの足に当たって入るというアクシデント的なもの。これで浦和に反撃の勢いを与えてしまった。川崎Fはそこから慌てたわけではないだろうが、ボールを大事にすることができなくなっていった。

「2点目、3点目と追加点を取ることができましたが、やはり自分たちのチームの力を考えれば余計な2失点でした」

 悩みは深いが、9月14日にはAFCチャンピオンズリーグのラウンド16が待っている。例えば、システム変更で流れを引き戻すというこの日の成功体験は、アウェーで韓国の蔚山と戦うタフな一戦で生きてくるかもしれない。すべてを力に変える、がこのチームのポリシーだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE