9月5日にJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦が行われる。川崎フロンターレは浦和レッズとのホームゲーム。第1戦でセンターバック2人が負傷で交代する緊急事態にあるが、そういうときこそチームを支えるのが選手の明るさ。センターバックに立候補する選手も出てきて…。

上写真=ルヴァンカップ準々決勝第2戦は久々の等々力での試合。鬼木達監督も「サポーターの皆さんの存在は間違いなく力になります」(写真◎J.LEAGUE)

「クリア練習をし始めたりする姿を見ていると、面白いですよね」

 浦和レッズと激突したルヴァンカップ準々決勝第1戦で、ジェジエウと車屋紳太郎が負傷により交代した。先発したセンターバックが2人ともピッチを去る緊急事態。

 ……なはずなのだが、小林悠は「練習では、次はセンターバックはお前に任せたよ、とかみんなでいじり合ってますよ」と明るい。「誰がやっても支え合っていこうねと話しています」とチームの陽の側面を披露した。

 鬼木達監督もこの話になると、ぱっと笑顔になった。

「誰とは言いませんけど、立候補してくれるような選手がいたりして、どこまで本気かわからないですけど、クリア練習をし始めたりする姿を見ていると、面白いですよね」

 チームの一体感が垣間見えるエピソードである。谷口彰悟も負傷で戦列を離れている現状では悲壮感ばかりが目立ってもおかしくないが、「そのクリア練習は意外と強さがありましたよ」とまんざらでもなく笑うこの明るさ。

「ネガティブさがないというか、チームとして困ったときみんなで何でもやるよというチームワークの見せどころですよね。そこは状況によって把握しながらやっていきたいと思います」

 視点を変えれば、「誰が入っても基本的には個性をお互いがわかり合いながらやっているサッカー」を証明する機会にもなる。「形にとらわれずにやろうと思っています」「力のある選手はいるので、そういう選手に頼りながらやっていければいい」「結局は誰を生かすか、どこを生かすかをうまく消化できれば」とも話していて、あらゆる可能性を排除することなく、さまざまに戦略を思い巡らせている。

 第1戦はアウェーで先制されながら家長昭博のPKで追いついて1-1で終えた。アウェーゴールを持ちながらの、ホームでの第2戦だ。「シンプルに、勝てば突破できる」と試合直後に話していたが、0-0の引き分けで終えればアウェーゴールで上回って準決勝に進出できる。「アドバンテージはないと思っています。0-0で勝ち抜く思考はまったくない」と断言しながらも、相手の状況や時間帯によって、現実的なマネジメントも必要になる。もし0-0のまま進んで残り時間が少なくなった場合、どんな判断で時計を進めるのか。

「最後の場面になれば、そこは自分も参加するべきだと思っています。いろんな形でメッセージ送ることも必要だろうし、はっきりさせるのが自分の仕事だと思っています」

 もちろん、ビッグチャンスを迎えることができるのに逃げる判断を強要するつもりはないが、中途半端になることだけは避けなければならない。そのときに、監督としてのリーダーシップが勝負を左右するかもしれない。

 そんなチームにとって大きいのは、等々力陸上競技場で試合ができることだ。実に3カ月ぶりのホームスタジアム。

「サポーターの皆さんの存在は間違いなく力になります。我慢強く戦わなければいけない状況で連戦がまだ終わり見えない中で、そういうところにも期待をしたいですし、こちらも期待に応えられるようにしたい」

 いざ、等々力劇場へ。選手も、監督も、クラブも、ファン・サポーターも、川崎Fの底力を証明するような試合になりそうだ。