上写真=江坂任は川崎Fとの90分に手応え。前線での小泉佳穂とのコンビは新たな魅力になる(写真◎J.LEAGUE)
■2021年9月1日 JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝第1戦(@浦和駒場/観衆4,629人)
浦和 1-1 川崎F
得点者:(浦)関根貴大
(川)家長昭博
先制点は小泉と江坂のプレスから
「90分ではいい戦いができた中で、勝ちきれなかったので、自分が決めていれば、というところはありました」
ルヴァンカップ準々決勝第1戦で浦和レッズが川崎フロンターレを迎えた9月1日の雨のゲームは、1-1で終えた。江坂任のその言葉を待つまでもなく、浦和は多くの時間で主導権を握り、川崎Fを押し込んでいた。
江坂の言う「決めていれば」は、例えば81分のシーンだろう。右サイドをきれいに割って田中達也がワンタッチで折り返すと中央で江坂が受けて、ていねいにコースを狙ってフィニッシュ。ところが、GKのチョン・ソンリョンにブロックされてしまった。
このシーンだけではなく、浦和がチャンスを数多く作ったのは確かだ。江坂は最前線に入って小泉佳穂とコンビを組んだ。登録がMFの2人がFWでプレーする効果はすぐに現れた。川崎Fのアンカーシステムの弱点を巧みに突いて、センターバックにもアンカーにもインサイドハーフにもサイドバックにも捕まらない場所を見つけては、2人で次々とボールを引き出していく。それに呼応して、もう一人のFWやサイドハーフ、ボランチが連係して動いて、テンポ良くボールを走らせて川崎Fのプレスを外していった。
35分の先制ゴールのシーンも、その2人が効いた。まず小泉が相手にプレスをかけ、時間的な段差をつけるようにそのあとに江坂が寄せて奪いきると、GKに向かっていって注意を引きつけておいてから右に送り、関根貴大のフィニッシュを導いてアシストを記録した。見事なコンビネーションプレスからのショートカウンターだ。
チーム全体にリズムを刻んでいく、例えるなら打楽器のようなコンビネーションのきっかけが、江坂であり小泉だった。江坂も「一番は距離感のところですね。佳穂といい距離感で、離れすぎず近すぎずできました。距離感が良かった分、ボールを保持できていい関係が築けたと思います」と好感触を口にした。
それがピッチ全体に波及していった。
「自分と佳穂が落ちたときに汰木(康也)や関根(貴大)が背後に抜けてくれたので、バランスやポジショニングはすごく楽しかった」
そんな実感が、さらなるチームの進化の推進力になりそうだ。
9月5日には第2戦が待っている。1-1なら延長戦へ、2-2以上の引き分けでは勝ち抜けという星勘定もできるが、勝てば突破が決まるから、余計なことを考えることもない。
「内容は自分たちが目指していたところに近づいたので、そこはポジティブにとらえたい」とドローという結果を除けば、明るい要素がたくさんあった。「自分が決めていれば」の思いは第2戦にぶつけて、準決勝への扉を開いてみせる。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE