2021年9月1日、JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝・第1戦が開催された。ヨドコウ桜スタジアムではセレッソ大阪とガンバ大阪の大阪ダービーが行なわれ、アウェーのガンバ大阪が89分の山見大登のゴールで1-0の勝利。ガンバはダービー1戦目(J1第27節)のリベンジを果たし、ルヴァン杯準々決勝第1戦で貴重なアウェーゴールを手にした。

上写真=パスの送り手、柳澤亘から祝福される山見大登(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月1日 YBCルヴァンカップ準々決勝第1戦(@ヨドコウ/観衆4,205人)
セレッソ大阪 0-1 ガンバ大阪
得点:(ガ)山見大登

・C大阪メンバー:GKキム・ジンヒョン、DF西尾隆矢、チアゴ、鳥海晃司、小池裕太、MF中島元彦(62分:坂元達裕)、原川力、喜田陽(83分:藤田直之)、高木俊幸(73分:為田大貴)、FW松田力(62分:加藤陸次樹)、山田寛人(73分:大久保嘉人)

・G大阪メンバー:GK東口順昭、DF三浦弦太、昌子源、菅沼駿哉、MF小野瀬康介(67分:柳澤亘)、矢島慎也(78分:山本悠樹)、井手口陽介、黒川圭介、小野裕二(78分:倉田秋)、FW宇佐美貴史(67分:山見大登)、パトリック(78分:レアンドロ・ペレイラ)

貴重なアウェーゴールを手に入れた

 前半、3-4-2-1を採用したガンバは組織立った守備を披露した。ボールサイドのウイングバックがしっかり相手のサイドハーフにアタックし、逆サイドのウイングバックが1列落ちて4バックを形成。リスク管理を徹底し、「まずは守備から」の戦いぶりで、得点機を探っていった。試合途中には1トップ+2シャドーから2トップに変更し、相手CBのビルドアップを制限。簡単にはボールを出させず、高い位置で奪って攻める場面も見られた。

 しかし、右に開いた宇佐美のクロスが空を切りそのまま流れることケースも散見。サイドと中の呼吸がなかなか合わず、ゴール前に人数が足りないこともあった。

 一方のセレッソも攻めに出るものの、決定機をなかなかつくり出せなかった。中島や松田力がシュートを放つも、ガンバも守備陣も自陣ボックス内では身を挺して守り、スコアを動かない。前半は互角の内容で、0-0で終わった。

 迎えた後半、最初に攻勢に出たのは、ホームのセレッソだった。左クロスから山田がヘッド、高木のワンタッチパス、小池の進入など見せ場を次々と生み出していく。ただ、それでもこの日はゴールが遠い。攻勢だったこの時間にゴールを生めなかったことは痛かった。守勢に回っていたガンバが選手交代を機に徐々に攻撃に出始める。ゲームがオープンな展開になった中盤以降はガンバも小野瀬や山見がゴールに迫っていった。

 そして試合終了間際だった。89分。ついにネットが揺れた。スコアを動かしたのは、アウェーチーム。ガンバの山見だ。

 右サイドの柳澤からボックス手前でボールを受けた山見は、左足でカーブをかけたシュートを放ち、キム・ジンヒョンを破る。それまでに裏を取る動きを繰り返し、相手ディフェンスラインにすき間を生み出すことに成功した。前振りをしっかり効かせて、ワンチャンスで仕留めた。そんなゴールだった。

「4日前に同じ相手とやって、本当に悔しい試合でした。今日は選手が我慢強く守備をしてくれた中で、交代で入った選手もしっかりやってくれた。次の第3戦に備えてしっかりコンディションを整えたい」

 ガンバの松波正信監督も最後まであきらめず、勝利をつかんだ選手たちを称えた。関西学院大学の特別指定選手、山見の思い切りについても指揮官は称賛を惜しまなかった。この試合、ガンバにしてみれば、アウェーゴールを挙げることが最低限のミッションだったと言える。そのミッションをクリアした上での勝利。ルヴァン杯の勝ち上がりを考えればこの勝利は極めて重要だが、大阪ダービー3連戦と考えると、これで1勝1敗。つまり次戦のルヴァン杯準々決勝第2戦が、決着戦となる。

 互いに負けられない第3戦。注目の試合は4日後の9月5日、ガンバのホーム、パナソニックスタジアム吹田で行なわれる。

取材◎佐藤 景