8月29日の明治安田生命J1リーグ第27節で柏レイソルが横浜FCを2-1で下した。決勝ゴールになったのはクリスティアーノの右足から生まれた強烈なミドルシュートだった。前半にPKを外しながら、失敗をすぐさま成功に変えてチームを連勝に導いたのだった。
上写真＝クリスティアーノが衝撃的なミドルシュートを突き刺した。最高に気持ちのいい一撃だった（写真◎J.LEAGUE）
■2021年8月29日 明治安田生命J1リーグ第27節（＠三協F柏/観衆4,344人）
柏 2-1 横浜FC
得点者：（柏）瀬川祐輔、クリスティアーノ
（横）渡邉千真
「みなさんの喜びにつながりました」
「そのために私はここにいるんです」
クリスティアーノはそう言って胸を張った。もちろんゴールを決めるために、という意味である。
8月最後のゲームとなった28日の横浜FC戦。物語の伏線は42分にあった。
先制しながらすぐに追いつかれる展開で進んだあとで、柏は瀬川祐輔が倒されてPKを得た。クリスティアーノのキックはしかし、左に切れてしまう。決めていればリードして、落ち着いてハーフタイムを迎えられただろう。
「もう一度、チャンスがあればまた蹴るつもりでしたよ」
でも外したことは、重荷になっていなかった。横浜FCのGKスベンド・ブローダーセンの特徴を頭に入れながら、キックの質を直前で変えたのだという。外したのは「練習通りに蹴らなかったから」と苦笑いだが、浮かさないように転がしてコースを狙い過ぎた。
それでも失敗をすかさず成功の元にするのだから、恐れ入る。71分、ハーフウェーライン付近で相手ミスからつないだボールを、すぐさま前線の瀬川に預け、そのままゴールへ向かって猛然と走った。そこへ、瀬川が待っていたように横パスを預けてくれる。ズドン！
右足を振り抜くと、ものすごいパワーとスピードでボールがゴールに突き刺さった。
「みなさんもわかっているように、私の特徴は強烈なシュートです。それが実現して、素晴らしいシュートがみなさんの喜びにつながりました」
この夏、フィットネスが高まっているのを感じていて、「22歳…いや、19歳という感じ」と笑うほどの調子の良さ。まさしく若々しい肉体が弾けた豪快ミドル。やはりこの人が躍動すれば、柏は強い。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE