名古屋グランパスが明治安田生命J1リーグで3連勝と、調子を上げている。一時の苦しい時期を乗り越えた自信と、そもそも備える地力がかみ合ってきた。マッシモ・フィッカデンティ監督もチームの一体感を感じて、さらなる高みを目指す。

上写真=札幌戦でも無失点で3連勝。マッシモ・フィッカデンティ監督も充実の表情だ(写真◎J.LEAGUE)

「特別に新しいものではなくて」

 名古屋グランパスが3連敗からの3連勝でリブート(再起動)だ。過密日程の中、湘南ベルマーレ、アビスパ福岡、北海道コンサドーレ札幌に立て続けに勝利、しかもすべて無失点と、堅守名古屋の面目躍如である。

「難しい状況を抜け出すために一つになることができました。困難があっても乗り越えたという実力が上積みできて、いま自信を持てています」

 マッシモ・フィッカデンティ監督も納得の表情でこう話す。

「自分たちの形として、こういう状況に持っていければ勝てると選手たちは自信に満ちています。そういう状態に戻ってきました。これは特別に新しいものではなくて、今季はそういう状況だったので、ようやく戻せたという感じですね。ただし、これで満足というわけではなく、ここからどれだけ進んでいけるか。いま、その道に乗っているという感じです」

 自信はあるが満足ではない、というのは、堅守ではあるがさらに攻撃の成果を手にしたい、という意味だという。

「堅い守備がベースになっていますが、そこだけにこだわっているわけではありません。それが備わっていなければ上位にいけないのです。攻撃に特徴のあるチームであっても、まず守備ができているわけです。堅守が数字に表れていることは自信になりますが、もともとあったものですからより強固にしようとしてきました。一方で、攻撃面での取り組みも続けているので、そこが結果に出てほしいと思います」

 26試合で20失点はリーグで2番目に少ないが、確かに得点を見ると27で、平均するとほぼ1試合に1点。フィッカデンティ監督が目指すのは、何かに偏ったチームではないということだ。

「金崎(夢生)、山崎(凌吾)がケガで、クバ(シュヴィルツォク)もようやく合流したところです。前線の中心になる選手がいない中で試行錯誤して勝つ方法を探しながら、いまたどり着いているものがあります。満足していない、と言ったのはここにつながることです。総合的に見て、ある部分はいいけれど、別の部分はそうではない、ということではなく、すべてにおいて完成を目指しているということを言っていきたいと思います」

 クリーンシートと複数得点。いわばフットボールの世界の「完全体」を目指すのは当然のことで、超過密日程や負傷者が続出してもあきらめることはしない。それが、フィッカデンティ監督とグランパスが進む道。