名古屋グランパスが復調してきた。明治安田生命J1リーグでは湘南ベルマーレに勝って連敗を3で止め、天皇杯ラウンド16ではヴィッセル神戸を下してベスト8に進出した。ともにウノゼロ(1-0勝利)であることが象徴的だろう。阿部浩之はこの2試合で勝利に貢献、助け合うことの意義を感じていた。

上写真=阿部浩之がJ1湘南戦、天皇杯神戸戦で連続で先発して、連勝に貢献した(写真◎J.LEAGUE)

「誰かの不得意な部分を得意な人が補ってあげる」

 阿部浩之にとっての「連戦」は、ともにウノゼロだった。8月15日のJ1第24節、湘南ベルマーレとの一戦は、リーグでの連敗を3でストップする貴重な勝利。18日の天皇杯ラウンド16ではヴィッセル神戸を下して、ベスト8進出を決めた。

 特にAFCチャンピオンズリーグのあとでチームは低調で、苦しい時期が続いていたが、ようやく復調の兆しだ。この2試合で先発起用に応えた阿部浩之は、「信頼」をかみ締めた。

「一番はやっぱりもう一度、みんなでやることが統一されて、やらなければいけないことに向かってしっかり進めたことだと思います。いままではできていたことが相手によってできなくなることによって、それまで信じていたものが合っているのかどうかと思っている部分はあったけれど、これで良かったんだと再確認できたことが大きいと思っています」

 結果が伴わなければ揺らぎがちになる信頼感が、もう一度しっかりと強固になった感覚を明かした。

「特に守備で、どの位置でプレスをかけるかとか、こういう状況なら無理に行かずにブロックを組もう、とかですね。良くないときはバラバラになってみんなが自分がやりたいことをやって、まとまりなかったと思います。でも、ちょっとずつ改善されて声をかけ合いながら、もともとのいい守備、連係で守れてきたのではないかと感じています」

 自慢の堅守を取り戻せば、強い。その核にあるのは「助け合い」だと阿部は言う。

「それぞれがストロングの部分を出す、それだけではなくて、誰かの不得意な部分を得意な人が補ってあげる」

 それは阿部自身がプレーで表現する。今季はリーグ戦はまだ6試合の出場にとどまっているが、「試合に出ていても出ていなくても、やることは変わりません」とフラットだ。

「僕のことで言えば、ゴール前のゾーンではパスはどんどんほしいですし、シュートはストロングだと思っているので、要求していければと思っています。それに、味方を助けるプレーやスペースを開けるプレーができれば、チームとしてうまく回っていくと思います。僕に限らず味方を生かしながら自分も生かしてもらう、というのはどちらも必要だから、率先してやれるようにしていければと思っています」

 仲間を生かし、自分を生かす。そのための下地はできた。まだすべてのタイトルに十分に可能性を残すいま、経験豊富な阿部の「助け合いのススメ」が、チームが高みに進む道しるべになりそうだ。