横浜FCが4戦負けなしと安定した戦いを続けている。中断前にはサンフレッチェ広島、中断後には名古屋グランパスと難敵を下していて、浮上への意欲が高まっている。早川知伸監督は3試合連続無失点と守備の安定に手応えを感じながら、次のセレッソ大阪戦では「最後の4分の1」でのゴールを狙っていく。

上写真=横浜FCはここ4試合で2勝2分けと復調。早川知伸監督は新戦力を起用しながら融合させていく(写真◎J.LEAGUE)

「いかにボックスに入っていけるか」

 中断前から4戦負けなしの2勝2分け。横浜FCが巻き返しに踏み出している。

 中断明けでは難敵・名古屋グランパスに2-0で見事に勝利、続けて残留争いのライバルとの直接対決となったベガルタ仙台戦では0-0で引き分けたが、これで中断前から3試合連続無失点と安定感を伴うようになってきた。

 早川知伸監督はその仙台戦後、守備については主に2つのポイントを挙げている。一つは、チームに浸透してきた守備への強い意識。

「チーム全体として、しっかり守り切る部分は前半戦に比べれば数段、レベルは変わったと思います」

 そしてもちろん、新戦力の大活躍だ。出場した2試合続けてスーパーセーブを連発したGKスベンド・ブローダーセンである。

「ブロがあれだけのセーブをしてくれたことで、無失点で抑えることができました」

 次節・セレッソ大阪戦の前日会見では、その守備のさらなるブラッシュアップに向き合ったことを明かした。

「守備がはまらなかった原因を、今週振り返って確認しました。仙台には勝つためのメンタリティーを含めて勢いがあって、受けに回ってしまったところがあります。システム的にも難しいところではありましたが、個人のところも含めて今週修正できたと思います」

 もちろん手の内は明かさなかったが、C大阪にはなんと言っても清武弘嗣という優れたコンダクターがいて、警戒が必要だ。ほかにも、リーグ戦ではここ11試合、7分け4敗と勝利がないのがにわかに信じがたいほどの陣容を誇るだけに、より高い守備への集中が問われるだろう。

 C大阪については「守備で守りきれないところがある」と見ていて、「時間帯は気になるところではあります」という事実を見据えている。もちろん、そんな単純なものではないとわかっていながらも、C大阪がこの11試合で突き放されたり、最後に追いつかれたりしたゴールは8つあり、うち6つを70分以降に決められているのだ。おおよそ後半の飲水タイムあたりからの「ファイナルクォーター」だ。

「それでも、とてもハードワークしていますし、その中で結果がなかなか出てこない印象ですが、前節の福岡戦では相手の勢いに押されたところはあると思っています」

 ならば、こちらも勢いで押し切りたい。勝利を収めた名古屋戦では、新加入のブラジル人FWフェリペ・ヴィゼウとサウロ・ミネイロを74分と79分に投入し、仙台戦でもフェリペ・ヴィゼウは先発させながら、サウロ・ミネイロは80分から投入と、終盤に勝負をかけている。

「特徴は2人ともゴールを奪うことが仕事で、それを最優先にやってもらいたいと話しています。そのためにいかにボックスに入っていけるか、そしてそこでチャンスメークできるか。それをチーム全体としてできるようにしていきたいと思います」

 最後尾はブローダーセンが締め、最前線ではブースター役としてブラジル人選手を起用できる。戦術や選手起用の新たな選択肢を手にした横浜FCが、力強く逆襲を始めている。