川崎フロンターレは連戦の中で8月18日の天皇杯ラウンド16も突破して、いまだ公式戦負けなし。登里享平はその天皇杯は「お休み」となったが、次の明治安田生命J1リーグ第25節サンフレッチェ広島戦に気力十分だ。左サイドの新しいコンビネーションを高める作業を楽しんでいる。

上写真=登里享平は三笘薫(左)に成長させてもらったと振り返る。三笘が移籍したが、新しいコンビの構築が楽しみだ(写真◎J.LEAGUE)

「すぐに見つかってしまうだろうなと」

 川崎フロンターレが改めて進化しようとしている。田中碧と三笘薫の移籍に伴い、新しい戦力がぐんぐんと存在感を増しているのだ。登里享平は、その2人がチームを去ったことは大きなことではあるものの、「それ以上にもっといろんな選手が出てきて、みんなそれぞれの色を出してアップデートしていければと思います」とにこやかだ。

 どの選手が出ても同じサッカーを貫く姿勢でキャンプからチーム作りを進めてきた自信が、そう言わせる。左サイドバックの登里にとっては、左ウイングとして大ブレイクした三笘に代わるメンバーとの関わりが大きな意味を持ってくる。長谷川竜也とはすでに形成されたコンビがあるが、もう一人、売出し中の宮城天も面白い存在だ。

「負けん気が強くて、はつらつとしていますよね。ピッチでもピッチ外でも気持ちのいい青年です」

 宮城の個性をどう感じるかを聞くと、いの一番に答えたのがメンタル面の潔さについて。それだけピッチでプレーできる準備ができていると感じている証拠だろう。

「最近の若い選手は本当に自立していて、いろいろな考えをどんどん吸収しているから、いいものはいい、悪いものは悪いと仕入れながらストイックにやっています。天にもより強い意識を感じますし、どんなことにも貪欲ですね」

 その心意気を、兄貴分である登里自身がうまく導くことが、2人の最高のコンビネーションを、そしてチーム力をさらに高めるきっかけになるだろう。

「とても頼りになりますし、ドリブルは本当に脅威だなというか、薫のように速いですしパンチ力もある。動き出しの部分もコミュニケーションを取りながらやるようになってきたので、コンビを組むのが楽しい一人ですね」

 三笘が登里の後ろ盾を得てのびのびと羽ばたいたように、宮城もきっと登里に成長させてもらえるだろう。だがそれは、登里も同じことだという。

「薫のときは昨年から組んで、自分が成長させてもらえたと思っています。薫のおかげでプレーの幅が広がったことは印象的でした。感謝しているんです。彼が圧倒してチームを引っ張ってくれて、彼がどうすれば生きるか、どうやったら気持ちよくスペースを与えられるかを考えることができました。天も竜也もスタイルが近いですから、自分がどう関わっていけるかというところが重要です」

 そんな相乗効果が新しい左サイドを強くしていく予感が、登里の中にある。

「天もポテンシャルと才能の塊なので、すぐに見つかってしまうだろうなと(笑)。そういう選手をしっかりと後ろでサポートして生かして、左で脅威になれるように自分がコミュニケーションを取りながら、また多少は壁にぶつかったり研究されたすることもあると思うので、いいときと弱いときのプレーの見極めを自分でも考えながら、的確にアドバイスしていきたいと思います」

 新しい左サイドはどんな輝きを放つのか。誰もが楽しみにしている。