上写真=山村和也は天皇杯清水戦でフル出場。チームに安心感を与える冷静なプレーで貢献している(写真◎J.LEAGUE)
「ポジションにかかわらず、攻撃に関わるプレーは好き」
天皇杯ラウンド16で、ようやくの90分決着だ。川崎フロンターレが8月18日に戦ったのは清水エスパルス。先制しながら一度は追いつかれたが、途中交代のレアンドロ・ダミアンがきっちりエースの仕事を果たして決勝ゴール。2回戦でJ3のAC長野パルセイロ、3回戦でJ2のジェフユナイテッド千葉にPK戦まで引きずり込まれたことを考えれば、90分できっちりと勝負をつけることができたのは大きかった。
山村和也はこの試合でフル出場。車屋紳太郎とセンターバックでコンビを組んで勝利に貢献した。アンカーでプレーした谷口彰悟が負傷で23分に交代するアクシデントがある中でも、最終ラインを引き締めて最後まで安定を維持した。
ただやはり、64分の失点はいただけない。大きな反省として認識している。
「守備ではセットプレーや失点のところで甘さが少し出たのかなと思います」
「前線からのプレスで少しズレを作ってしまって、最終的に後手に回るシーンになってしまったのは反省する部分でした」
その言葉通りに、相手GKのミドルパスからさらにワンタッチで前線の右サイドに運ばれ、選手たちは戻りはしたもののボールへのアプローチがゆるく、逆サイドのマークもがら空き。ハードな球際を是とするチームにしては珍しいシーンだった。
一方で攻撃では、意識しているという中央への縦パスだけではなく、裏へのミドルパスでもリズムを出して最終ラインからチャンスに結びつけるセンスを見せた。川崎Fではセンターバックでの貢献が大きいが、登録はMFでボランチでもプレーするし、セレッソ大阪時代にはFWで機能していて、その器用さはチームの力になる。
「ボールに関わる作業を切らさないことを大事にしています。ポジションや時間帯によるので、そのときどきの役割を考えながら実行できるように準備しています」
センターバックでもボランチでも、変化に対応する準備を続けることが、冷静なプレーの源だという。だが、微妙な変化も加えている。
「比較的、前に行けば行くほどチャレンジする回数は多くしているつもりです。後ろではリスクを犯さずにしながら、プレーをいい方向につなげたいと思っています」
「後ろでも前でも、どちらもやりがいはありますが、ポジションにかかわらず、攻撃に関わるプレーは好きですね」
山村のクールすぎるほど冷静な守備は、十分に観客の目を引きつける。一方で、攻撃的なスタイルで日本の最高峰に立つこのチームには、その「チャレンジ」が生きる下地がある。だからこそ、「攻める山村」をもっと見てみたい。