8月15日に行われた明治安田生命J1リーグ第24節で横浜F・マリノスは大分トリニータを迎えた。先制後に一度は追いつかれたものの、地力の差は明らかで、焦らずに着実にゴールを陥れていった。終わってみれば前田大然がハットトリックで、レオ・セアラが2得点。勝ち点を56に伸ばして首位川崎フロンターレに6差にまで迫ってきた。

上写真=前田大然がハットトリック+1アシストの大活躍!(写真◎J.LEAGUE)

■2021年8月15日 明治安田生命J1リーグ第24節(@ニッパツ/観衆4,752人)
横浜FM 5-1 大分
得点者:(横)前田大然3、レオ・セアラ2
    (大)伊佐耕平

「2点目の失点がもったいなかった」と片野坂監督

 前田大然がハットトリックに1アシスト、レオ・セアラが2ゴール。仲川輝人、水沼宏太、エウベルもアシストを記録し、自慢の攻撃陣がのびのび躍動して、大分トリニータを寄せつけなかった。

 先制には少し時間がかかり、決めたのは30分。右サイドのパス交換で大分の守備に穴を開け、岩田智輝が滑り込ませた裏へのパスで仲川輝人がもぐり込むと、ゴールラインぎりぎりまで持ち込んでからマイナス。前田大然が難なくプッシュした。

 このゴールは右サイドバックの小池龍太、ボランチの扇原貴宏、トップ下のマルコス・ジュニオールのパス交換から、ボランチの岩田が高い位置で小池からのパスを引き出して裏に出したもの。仲川のセンタリングにはマルコス・ジュニオールとレオ・セアラも中央で構えていて、実に7人が有機的に絡んで決めた、まさにこのチームらしい理想のゴールだった。

 大分は15分過ぎに連続でフィニッシュに至るシーンがあり、この時間帯に決めたかった。ただ、39分には右CKから下田北斗のキックに伊佐耕平がヘッドで合わせて同点として、逆襲の兆しを見せた。

 それを、ミスからフイにしてしまったのはもったいなかった。GK高木駿のゴールキックは前田にヘッドで返され、そのボールを上夷克典がヘッドで触るものの、エンリケ・トレヴィザンと交錯してボールはゴール方向へ。これを抜け目なく狙っていたレオ・セアラにさらわれ、高木の頭上を越すループシュートで決められた。しかも、45分と前半終了間際の危険な時間の失点によって、横浜FMに余裕を与えてしまった。

 後半はその横浜FMのゴールショーになった。55分に扇原の美しいスルーパスで左を抜け出した前田が折り返してレオ・セアラが決めれば、残る2ゴールは前田が決めた。75分に水沼宏太のミドルパスで裏抜けすると、飛び出したGK高木を越すミドルレンジからのループシュートが気持ちよく決まって4-1とすると、最後は左サイドをドリブルで深々と破ったエウベルの折り返しをヘッドで押し込んで締めくくった。

 横浜FMは11試合負けなしで、1引き分けを挟んで9連勝と絶好調だ。勝ち点を56に積み上げ、ついに首位の川崎フロンターレに6差とにじり寄ってきた。ケヴィン・マスカット監督は「前半はなかなかボールが落ち着かず、ボールスピードも思っていたほど出ずに難しい展開がありました。でも後半には、見ていて楽しいサッカーができました。ボールの動きも選手の動きもゴールへの動きも良かったと思います」と満足の表情だった。

 大分は今季最多の5失点で、これで3連敗。片野坂知宏監督は「2点目の失点がもったいなかったことが尾を引いたというか、残念でした」と追いついたあとのミスからの失点を悔やんだ。それでも「上位のマリノスさん相手で、自陣でブロックを作って守る手もありましたけど、我々は勝ち点を取らないといけないし、そのためには得点を取らなければいけない中で、どういうふうに取ろうかということで戦術にトライしました。選手は思い切ってやってくれました」と、準備した4バックで前向きに勝負に出た意欲は評価した。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE