徳島ヴォルティスにこの夏加入したFW一美和成は、強い決意を持って今回の移籍を決めた。東京五輪でアグレッシブにプレーする同世代の選手たちの姿もきっかけになったという。新天地で目指すのは、ゴールを量産。チーム合流後の取材で思いを語った。

上写真=練習でキレのある動きを披露していた一美和成(写真◎TOKUSHIMA VORTIS)

林大地選手の姿は刺激になった

 今季、横浜FCからガンバ大阪に復帰した一美和成は、二つ目標を掲げていた。一つは「ガンバのリーグ優勝に貢献すること」、そしてもう一つが「東京五輪に出場して活躍すること」。だが、ガンバでは出場機会が限られ、五輪メンバー入りは叶わなかった。そんな折に、徳島からオファーが届く。決断まで時間がない中で、一美はチャレンジすることに決めた。

「G大阪と徳島の試合が直近でありましたが、そのときはまだ(オファーの)話を聞いていませんでした。翌日朝に話を聞き、その際に、ダニエル監督の方からいろいろな話をしてもらいました。いま、自分が改善すべき課題を的確に指摘されて納得するところがありましたし、徳島のサッカーを肌で感じました。自分の環境と徳島へ行くかで悩みましたし、決断は難しかったですが、新しい環境でチャレンジしたい気持ちが強く、徳島にお世話になることに決めました」

 一美は新たな一歩を踏み出すことに決めた。

「去年の年末に五輪代表の合宿に呼ばれて、自分も候補に入っている自覚もありました。もちろんガンバ大阪で活躍して、オリンピックを目指していました。林大地選手がスタメンを勝ち取って出場しているのを見ていて、悔しい気持ちもありました。ただ本当にいい選手ですし、アグレッシブさはすごく勉強になった。やっぱり試合に出場したいという気持ちがより大きくなりました」

 届かなかった五輪という舞台で活躍する仲間のプレーが刺激になったという。環境を変えて成長速度を速めることが必要だと感じた。「ガンバでも成長はできていたと思いますが、やっぱり試合に出ないとサッカー選手の価値は上がらない。徳島に声をかけてもらって、新しい環境に身を置こうと思いました」。

 徳島で目指すことも明確だ。「自分のプレーの特徴はポストプレーやゴール前のシュート。徳島ヴォルティスの勝利に貢献できるように、まずはチームになじむところから始めていきたい」「ゴールを取ることで残留に導けたらと思います」。初練習を終えて取材に応じた一美はチームの中でしっかり自分の持ち味を出すイメージを膨らませていた。

 チームは現在16位。残留圏にぎりぎり踏み留まっている状況だ。後半戦の巻き返しにはゴールが必要だ。一美に期待されるのは、その部分。

「やっぱりFWはゴールを決めて初めて認められる。練習からゴールを奪ってアピールしたい。J1でゴールを決めたいと思っています」

 背番号は17。その数字は2019年にJ2の京都でブレイクしたときに積み上げたゴール数と同じ。今度は徳島でゴール量産を目指す。