明治安田生命J1リーグが8月9日に再開し、名古屋グランパスは横浜FC、横浜F・マリノスとアウェーでの「横浜連戦」だ。その最初のゲームでは黒星を喫して、中2日で2戦目に臨むスケジュール。米本拓司は再開初戦の反省を深く心に刻んで、原点回帰を強調した。

上写真=米本拓司は横浜FC戦の敗戦に「はき違えてはいけない」(写真◎J.LEAGUE)

ポジティブな声をかけ合いながら

「ああいうところで失点しないのが僕たちの強みだった」

 米本拓司が強い反省を表現した「ああいうところ」とは、横浜FC戦の失点シーンのことだ。8月9日の再開初戦となったアウェーゲーム。開始わずか9分に左サイドを崩されて最後はオウンゴールに。33分にもロングスルーパスで中央を割られ、松尾佑介にスピードで抜け出されて決められ、前半だけで2点のリードを許した。

「自分たちで何がダメなのかわからないまま失点してしまって、しっかり耐えておければ試合は分からなかったと思います。ああいうところで失点しないのが僕たちの強みだったので、もう1回原点に戻って粘り強い守備を意識しながらやっていきたいと思います」

 原点、とは、堅守である。タイで行われたAFCチャンピオンズリーグに臨む前、5月30日までの20試合はわずか13失点、1試合平均は0.65失点だったのに対し、帰国後はサガン鳥栖に1-3、横浜FCに0-2と2試合で5失点、1試合平均は2.5失点だ。

「みんな同じ方向を向いて、一人が行ったときについていかないと、その選手は死んでしまいますし、みんなが同じ意図で守備をしないと簡単に失点するんだなと、ここ何試合かで思います。しっかりみんなで意思統一するところは、戦術の練習でもミーティングでもやったので、みんなで同じ方向を向いて、マイナスな言葉ではなくポジティブな言葉をかけ合いながらやっていくことが大事だと思います」

 ここが正念場と見据えている。

「まずは自分たちが何が得意なのかを考えながら、勝っていた時期には堅い守備があってこそ、0-0で試合を進めていって後半に点を取って勝つのが僕たちのサッカーでした。そこをはき違えて攻撃、攻撃、といくのが一番のリスクだと思います」

 序盤の9試合連続を含めて、実に14試合が無失点なのだ。前半早々に2失点した横浜FC戦は異例中の異例ということになる。

 米本がとにかく強調したのは、一体感だ。

「もっとみんなでボールを受けないとダメだと思いますし、サッカーをするのをビビっているというか、思うようにいっていない部分があって、ずるずるとマイナスの方向にいっています。顔を上げて、ミスしても誰かがカバーすればいいんだという雰囲気をみんなで作らなければいけないですし、チームスポーツなので1人だけが良くてもダメなので、良くない選手いればその選手を引っ張っていくことが大事だし、みんなでポジティブな声をかけながら、みんなで戦っているんだという意思を持ちながらやっていきたいと思います」

 みんなで、を繰り返し繰り返し口にしていく。

「みんなで同じ方を向いて同じ戦い方をすれば強いチームだと思うので、以前の戦いを思い出しながら戦えればいいと思います」

 成功体験はもちろんある。それを再現する難しさを感じながらも、そのための方法も「同じ方向を向く」と明らかだ。だからあとは、実行するだけだ。