サガン鳥栖の林大地がベルギー1部のシント=トロイデンVVへ移籍することが決まり、8月9日のFC東京戦のあとには壮行セレモニーが行われた。その後に臨んだ記者会見では、改めて「野心」を強調。東京オリンピックで得た刺激を未来につなげるために、海外挑戦を選んだ思いを語った。

上写真=8月9日の試合後にセレモニー。チームメートやファン・サポーターに笑顔であいさつした(写真◎J.LEAGUE)

「自分でもよくわからない感情がぐっと湧いてきて」

 ベルギー1部のシント=トロイデンVV(STVV)へと移籍する林大地が、8月9日のFC東京戦のあとに壮行セレモニーでチームメートやファン・サポーターにあいさつ、その後、オンラインで移籍記者会見に臨んだ。

 強調したのは、セレモニーでも口にした「野心」だ。厚い信頼を置く金明輝監督に言われてきた言葉だという。

「野心を大切にして、あぐらをかかずにやり続けるしかないぞと言われてきました。向こうに行けばなおさら、鳥栖で得たことや感じたことを思い返すようなことがたくさん起こると思います。自分のために指導してくれた監督に言ってもらえた言葉や、自分が大切にしてきたことを思い出していきたい」

 野心の中身を具体的に言葉にするのは難しいと明かすのだが、そのプレーからはまさに野心がにじみ出る。どんなときも恐れずに、あきらめずに、堂々と立ち向かうスタイルで鳥栖で頭角を現し、東京オリンピックで輝き、ヨーロッパ行きのきっぷをつかんだ。

 STVVにはオリンピックの前から関心は示されていたということで、「迷わずに行きたいと言いました」と即決。「鳥栖は自分が試合に出ていなくても勝っているし、自分がいるからどうだと言える立場ではないので」と謙遜したが、海外移籍は「次はA代表を目指してやりたいと考えたときに、海外で結果を出したいと思った」とオリンピックを通して強い意欲に変わった。

 代表活動の期間には国外でプレーする選手たちからさまざまな情報をもらい、実際に世界大会のピッチに立って大いなる刺激を受けた。

「オリンピックに出て海外への気持ちが強くなったし、感じたことのないプレッシャーだったり自分でもよくわからない感情がぐっと湧いてきて、そういったことをいろいろ含めて海外に行きたいなと。A代表で活躍している選手たちは常にそういう重圧の中でサッカーをしていて、プロサッカー選手はずっとはできないので、やるからにはそうした重圧やプレッシャーで自分を追い込んで向き合って生活したいと思いました。それを目指すためにも海外で挑戦したいんです」

 STVVはこれまでも多くの日本人選手がプレーしてきており、思い切り戦う環境は整っていると言えるだろう。そこで身につけるのは、やはりゴールだ。

「一番は得点能力ですね。いろんな選手から、海外ではやっぱり最後は個人の部分が大事になると聞いています。日本よりは連係とか戦術の部分は少なくなると考えているので、自分の力でゴール決めることは考えています」

 J1で52試合14得点、東京オリンピックで5試合出場という実績を携えて、林大地が海を渡る。