浦和レッズでは5月31日に加入が発表されていたアレクサンダー・ショルツがついに来日、8月7日に新加入会見をオンラインで行った。ようやくチームの一員として活動することになったデンマーク人DFは、明晰な頭脳を感じさせる言葉で日本での挑戦について語った。

上写真=アレクサンダー・ショルツがついに浦和へ。ヨーロッパでの経験を生かしてチャンピオンを目指す(写真提供◎浦和レッズ)

「ゲームの温度をしっかり感じ取りながら」

 浦和レッズ加入の発表から2カ月以上。ついに、待ち人がやってきた。ようやくチームに合流することができたアレクサンダー・ショルツが8月7日に記者会見で明かしたのは、「思い出を作ること」の大切さだった。

 5月31日に加入が発表されたショルツは、デンマーク人のセンターバック。189センチの長身に目がいくが、ハードな守備はもちろん攻撃参加も得意で、リカルド・ロドリゲス監督の求めるスタイルをしっかりと表現するポテンシャルの持ち主だ。

「10年以上、キャリアを続けても、自分を説明するのは難しい」と言いながらも、プレービジョンを語る言葉はとても印象的で、哲学的、文学的、頭脳的であることが垣間見える。例えば、自分自身がどんなプレーヤーかと説明するときは、こうだ。

「自分の特徴は、ゲームの温度をしっかり感じ取りながらコントロールするところです。ボールを保持するタイミングや急ぐタイミング、ゆったりとゲームを流れの中でつかむタイミングをしっかりと感じていきます」

 プレーテンポを「温度」で表現するところが独特だ。DFでありながら攻撃参加が得意な点についても、こんなふうに答えている。

「私はパサーではありません。足元で前に運んでいくスタイルです。確かに面白い感じのセンターバックだと自負していますが、ゲームコントロールするタイプですね。相手のフォワードはあまり守ってこないタイプが多いので、そこで攻撃をクリエイトする表現力を持っています」

 守備についても同様で、クイックネスの高い日本の選手への対応は、頭脳で対抗するという。

「ヨーロッパではフィジカルなサッカーが展開されていて、私はスピードのあるタイプではないけれど、プロで10年以上、そういう局面で対峙してきました。頭を使う選手、マインドを使う選手というイメージを持ってくれればいいと思います」

 そして、プロとしてサッカーをプレーする意義が「思い出を作ること」だと強調するのだ。

「まず、皆さんには自分がチームプレーヤーだと認識してほしいと思います。チームメートがしやすいようにプレーすることが好きです。そして、大事なのは勝つことです。何かに向かって前進していることを見てほしいと思っています。サッカー選手なので契約ごとなどいろいろなことがありますが、重要なことは勝って素晴らしい思い出を作ること。そこは忘れたくはありません。チームが前進して、みんなで思い出に残る勝利を表現したいと思います」

 勝利を何のために求めるのか。いわば哲学的にも聞こえるその答えが、浦和をさらなる高みへと押し上げることになりそうだ。

アレクサンダー・ショルツ(Alexander SCHOLZ)
■生年月日:1992年10月24日(28歳)
■出身:デンマーク
■身長/体重:189cm/84kg
■ポジション:DF
■背番号:28
■経歴:ヴェイレBK(デンマーク)→UMFストヤルナン(アイスランド)→スポルティング・ロケレン(ベルギー)→スタンダール・リエージュ(ベルギー)→クラブ・ブルージュ(ベルギー)→FCミッティラン(デンマーク)