明治安田生命J1リーグは一部のチームを除き中断期間に入っていたが、いよいよ8月9日に再開する。「後半戦」への重要なスタートで、FC東京が戦うのはサガン鳥栖。前回対戦ではホームで1-2で敗れており、ジョアン・オマリはアウェーでその借りを返すつもりだ。

上写真=ジョアン・オマリは鳥栖戦に出場すれば、前回対戦のリベンジを勝利で果たすつもりだ(写真提供◎FC東京)

学んだ教訓「90分、集中を切らさないこと」

 FC東京のDFジョアン・オマリには苦い記憶がある。

 2021年4月24日の第11節、サガン鳥栖戦。18分に左からクロスを放り込まれ、酒井宣福にヘッドでたたき込まれて先制を許した。結局この試合は1-2で敗れるのだが、この不用意な失点をいまも悔やむ。

「前半戦の失点、酒井選手のあのヘッドからの失点からは、ちょっとしたミスだったり集中を欠くことで一瞬のスキで決められることを学びました。自分たちが90分集中して相手の攻撃をシャットダウンすることを意識したいと思います」

 この試合でオマリは渡辺剛と組んで左センターバックに入っていて、クロスが入ったときには別の選手をケアしていたのだが、渡辺の裏、右サイドバックの岡崎慎の手前のスペースへ酒井が入ってきて決められた。

 そして、再開後の初戦となる次の試合が鳥栖とのアウェーゲームだ。最近ではセンターバックは渡辺と森重真人のコンビが続いていたが、その森重が出場停止。オマリの出番が期待される。

「スピードあふれる攻撃をしてきます」と鳥栖のスタイルを警戒するのは、やはり4月のゲームの記憶が残るから。「90分、集中を切らさないこと」が前回の失敗から学んだ教訓だ。特別な対応策ではない。やるべきことをやれば勝てるという自信の裏返しである。

 オマリといえば、まるでオセロゲームのように守勢を一気に攻勢へとひっくり返すロングパスも魅力だ。8月1日のトレーニングでも、相手の裏のスペースと、そこへ走り出したディエゴ・オリヴェイラを見逃さずに絶妙なパスを送り込んで、ディエゴ・オリヴェイラの豪快なゴールを生むシーンがあった。

「試合でもああいうパスができるようにチャレンジしたいですし、鳥栖戦まであと1週間あるので、チームとして準備をしていい状態で臨んでいきたいと思っています」

 リーグ戦は5月9日の鹿島アントラーズ戦以来、ルヴァンカップも含めれば5月19日の大分トリニータ戦以来、実戦でプレーしていない。それでも、中断期間のトレーニングでフィットネスも上がってきていて、そしてなにより最大の強みである献身性はどんどん高まっている。

「得点につながるようなパスもできるように心がけていきたいですけれど、それよりもまず、チームが勝てればそれでいいと思うので、そこに集中したいと思います」

 8月9日、駅前不動産スタジアムのピッチにオマリが立つことになれば、4月の借りは返さなければならない。