水戸ホーリーホックからサンフレッチェ広島に完全移籍したDF住吉ジェラニレショーンの加入会見が、7月19日に行なわれた。大学卒業後に1年半プレーした古巣への感謝とともに、新天地での決意を語っている。

上写真=会見後にユニフォームに着替え、エディオンスタジアム広島のピッチで写真撮影を行なった住吉。背番号は21に決まった(写真◎石倉利英)

母は広島カープのファン

 1997年10月5日生まれ、アメリカ合衆国出身の住吉は、日大藤沢高(神奈川)、国士舘大を経て2020年に水戸に加入した。1年目は明治安田生命J2リーグで27試合出場に出場して1得点、2年目の今季は水戸での最後の試合となった第22節まで、出場停止の1試合を除く21試合に出場して1得点を記録。水戸の最終ラインを支える存在として評価を高め、7月7日に完全移籍での加入が発表されていた。

 水戸から広島へのシーズン途中の完全移籍では、2012年に住吉と同じく国士舘大からプロ入りして2年目だったDF塩谷司が加入し、翌13年から主力として活躍した(17年途中にUAEのアルアインに完全移籍)。19年には大阪体育大から加入1年目のMF浅野雄也が完全移籍し(残りの19年シーズンは広島からの期限付き移籍という形で残留し、20年から広島でプレー)、現在も主力として活躍している。

 チーム合流後の初練習を終えて会見に臨んだ住吉は「このチームとともにJ1の舞台で戦えることを光栄に思って、精一杯頑張ります」とあいさつ。母が神奈川県横浜市で広島のお好み焼き店を営んでおり、「広島カープのファン。(広島への加入を連絡したら)ものすごく喜んでくれて、笑顔が見られてよかった。また一つ、違う形で恩返しができた」と笑顔で語った。

 プレーについては「自分は身体能力が売り。スピード、体の強さを生かしてJ1の舞台で戦いたい。早くチームに慣れて、力になりたい」とコメント。座右の銘を聞かれると「幼い頃に母から『努力した汗は無駄にはならない』という言葉を教えてもらったのを胸に刻んでいる」と明かし、さらに「誰が言ったのかは思い出せませんが、『努力したから報われるのではなく、報われるまで努力する』という言葉が響いている」と語っている。

 1年半で成長を遂げた水戸での経験を「プロとして初めてのキャリアのクラブ。学生時代は能力だけでやってきたのですが、最初に性根をたたき直され、その後はポジショニングなどの細かい部分を秋葉さん(秋葉忠宏監督)などコーチ陣に学んだ」と振り返る。ステップアップを果たし、「オンとオフ、両方とも水戸で成長することができた。秋葉さんやスタッフ全員に感謝したい」と古巣への思いを述べた。

 足立修強化部長は「特に今シーズンの活躍は目覚ましいものがあり、注目していた。後半戦の巻き返し、ディフェンスの強化、チーム全体の底上げに向けて、ぜひ来てほしかった」と獲得の理由を説明。「スピード、フィジカルはJ2でナンバーワンだと思っている。早くチームに溶け込んで、将来的には日本代表選手になってもらいたい」と期待を寄せた。練習後に住吉を呼び止め、ピッチに座って言葉を交わした城福浩監督は「話をしていても、決意を持って来てくれたと感じた。骨格や体つきを見ても頼もしそう」とコメント。ポジションについては3バックのディフェンスラインのほか、アウトサイドでの適正も探っていく考えを示している。

 写真撮影で初めて紫のユニフォームに袖を通し、「気持ちいいです。早く母に見せてあげたい」とニッコリ。シーズン途中の加入とはいえ、東京五輪による中断期間というアドバンテージを生かし、レギュラー争いに食い込んでいけるか注目される。

取材・写真◎石倉利英