4連敗と調子が出ないアビスパ福岡だが、例えば北島祐二のような若手が芽を出す時間だととらえることもできる。7月10日の明治安田生命J1リーグ第22節で横浜F・マリノスに0-2で敗れたが、57分からピッチに飛び出した北島は自らの価値を示そうと必死に駆け回った。

上写真=北島祐二は20歳のアカデミー出身のMF。横浜FM相手に怖がることなく勝負していった(写真◎J.LEAGUE)

「積極的にボールを受けて前を向いて運ぶことはできた」

 北島祐二がピッチに登場したのは、57分だった。J1第22節の横浜F・マリノス戦。スコアは0-2でビハインド、左サイドMFに入って長谷部茂利監督から受けた指示は「積極的にいけ。シュートを狙って、練習で取り組んできてゴールにつながっていたので、それを出してこい」だった。

「2点を追いかけていたので、1点を取りにいこうと前向きな気持ちで入りました」

 そんな思いを胸にした北島は、足元で細かくボールを動かすドリブルを生かして、左サイドで跳ねた。

「最初は左サイドハーフでプレーして、本職というか自分のポジションなので、積極的にボールを受けて前を向いて運ぶことはできたと思います。でも、もっとシュートを打てたらなと思います」

 76分に城後寿とジョン・マリを最前線に送り込んでさらに攻撃の圧力を増すタイミングで、今度はボランチに移った。

「ボランチに入ってからはオープンな展開になっていて、なかなかボールを奪い切ることができませんでした。球際に強くいくこと、ガチャガチャっとなったところで取りきるところでは、ボランチとしての評価はまだまだかなと思っています」

 8月に21歳になるアカデミー出身の若手MFだが、その受け答えは堂々と冷静だ。今季のリーグ戦では3試合目の出場ながら、ルヴァンカップでは6試合すべてに出場していて、貪欲に経験値を獲得し続けている。だがそれでも、横浜FMというビッグクラブのレベルの高さを痛感することになった。

「前半は相手の速さ、うまさに圧倒された印象でした。ゼロで耐えきれていたら、後半は持ち味の粘り強さからカウンターで得点を狙うチャンスができたはずで、序盤の戦い方を全体で共有しないといけない」

 北島自身も、結果的にはシュートはゼロだった。

「シュートにいく場面を増やすのが課題です。途中から出ても、シュートを打たないと入らない。こいつを出せば点を取ってくれる、と思ってもらえるようなシュート、スルーパス、ゴールにつながるプレーが足りないと思っています」

 これで4連敗と悩ましい時期が続くが、だからこそ雑念を振り払った突き抜けたプレーがチームに刺激を与えるはずだ。

「あまり試合に絡めていない僕や若手がもっとアピールして、エリートリーグや練習試合でどれだけアピールしてリーグに絡んでいくかが、浮上のきっかけの材料になると思います」

 その先頭を走る北島が、何かを起こす。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE