6月23日の明治安田生命J1リーグ第19節で、浦和レッズはアウェーで柏レイソルと対戦した。中2日で迎えたゲームで前節から9人を入れ替えるローテーション。宇賀神友弥も10試合ぶりに先発で出場機会を得た。キャプテンとしてピッチに立つと、64分には決勝ゴールとなる先制点を決めてみせた。

上写真=歓喜と気合でこの表情! 宇賀神友弥が約2年ぶりのゴールを決めた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年6月23日 明治安田生命J1リーグ第19節(@三協F柏/観衆3,263人)
柏 0-2 浦和
得点:(浦)宇賀神友弥、柴戸海

「何をしているんだろうという気持ちになるときも」

「正直に言うと、ここまでリーグ戦で試合に絡めないのは初めてですし、週末に試合がない日々が続くと、サッカー選手として生きている実感がわかないんです」

 実感のない毎日。宇賀神友弥は4月からリーグ戦に出場していなかった。前節から中2日で迎えた6月23日の柏レイソル戦で、ようやく10試合ぶりに先発出場。左腕には白いキャプテンマークが巻かれていた。

「意識しすぎるとダメなので」とアームバンドに過度の意識を向けずに、「キャプテンマークを巻いていようがいまいが、自分が中心になって声をかけられますし、キャプテンのつもりでプレーしています」と平常心に努めた。

 すると、自ら決勝ゴールとなる先制弾を決めてみせたのだ。64分、左からの山中亮輔のクロスが相手に当たって流れ、関根貴大が拾ったところで「タカ!」と大声で呼んだ。関根が戻したボールを右足でていねいにゴール左に送り込む、美しい軌道のダイレクトミドル。2019年6月15日のサガン鳥栖戦以来のゴールが生まれた。

「関根が落ち着いて見てくれていました。プレッシャーはなかったし、コースが見えたので、狙い通りのゴールだったと思います」

 久々のゲームは、前節から宇賀神を含めて9選手が入れ替わっていて、チームとして機能するまでに時間がかかった。それでも勝利という最高の結果を手に入れた意味は大きい。

「前半からパスサッカーができたと思いますし、チャンスもたくさん作れた中で点が入らなくて、難しいゲームだと思いながらプレーしていました。でも、全員ブレることなく戦えました。自分もリーグでなかなかチャンスがなくて、巡ってきたチャンスで個人でもチームでも結果を残して自信になりましたし、メンバー外でも練習してきた日ごろの成果だと思います」

 腐らずに、チャンスが来たときに力を発揮できるように…。そう話すのは簡単だが、実行するのは難しい。それをやってのけた。

「何をしているんだろうという気持ちになるときもありますけど、入ったときにしっかり切り替えできているのが今日の結果につながっていると思います」

 右サイドバックには西大伍が今季から加入して、「本当に落ち着いてプレーしているので真似している」と貪欲に学ぶ姿勢を見せ、東京オリンピックのあとには酒井宏樹も加わる。「練習でトライアンドエラーを繰り返して、試合に出ない中でも成長を実感しています。ピッチで表現できるのは楽しいと、今日、改めて感じました」。左右で続くポジション争いにも、宇賀神の意地はますます燃え盛る。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE