6月19日の明治安田生命J1リーグ第18節で、FC東京は横浜FCに1-0で逃げ切った。これでリーグ戦は直近の5試合で4試合が無失点。守備の安定をもたらした原因の一つが、青木拓矢の存在だろう。調子を上げてきたブラジルトリオを攻守で生かすために、どんどんボールを預けていくつもりだ。

上写真=青木拓矢が中盤を引き締めることによって、FC東京の守備が整ってきた(写真提供◎FC東京)

「いい意味で、慣れじゃないですかね」

 天皇杯2回戦の順天堂大戦を除き、直近の公式戦8試合に先発出場。青木拓矢がFC東京にとって不可欠な存在になっている。

 悪夢の5連敗の最後の試合となった鹿島アントラーズ戦から先発に定着、中盤の底に構えて全体を引き締めて、少しずつ上向きになってきているチームの要石だ。

 冷静沈着なメンタルの持ち主だからド派手なプレーを見せるタイプではないが、あと少しでヒーローになりそうだったのが、J1第18節の横浜FC戦だ。1-0で迎えた後半開始早々の51分、右CKの流れから、ディエゴ・オリヴェイラが左サイドを突破してクロス、これにヘッドで合わせたのだが、残念ながらボールはバーを越えた。

「僕が普通に外しました。厚めにヘッドに当たって、首を振ったし当たりすぎたという感じはありますね」

 思い出すと苦笑いだが、ここで2-0にできれば試合を楽に進められたかもしれない。「間違いなくこっちのほうが2点目を取るチャンスが早い時間帯に来たので、僕も含めてですけど2点目を取れればもっと違う展開になったかなと思う」と悔やんだ。

 それでも横浜FC戦は守り抜いて、このまま勝利をつかんだ。「困ったシーンとしては、自分たちのミスからだったので、それ以外は問題なかったと思います」と、特に後半は相手にチャンスを作られたものの、ピッチでの対応は冷静だった。

 リーグ戦のここ5試合中、4試合で無失点。守備の安定に大きく寄与していて、その理由を「いい意味で、慣れじゃないですかね」と自己分析する。長谷川健太監督も今季浦和レッズから移籍してきた青木について「拓矢は慣れてきたと思います」とまったく同じ表現で評価しているのが面白い。「日本人のJクラブでの移籍であっても3カ月はかかると思うので、その意味では早い段階でチームに慣れてきたのが非常に大きかったですね。少しずつ良くなっているのは球際のところ。前向きに取り組んでくれて、まだ負けるシーンはあるけどきちっとプレーできるようになってきたのは大きいです」と評価している。

 レアンドロの復調も心強い。横浜FC戦で決めた決勝ゴールのように、ディエゴ・オリヴェイラとアダイウトンと3人でゴールを決めきることができるのも、青木は「でかいですね」と喜ぶ。トップ下に入るレアンドロのキープ力によって時間が生まれるから、「後ろから出ていきやすくなりますし、その間に守備のためのポジションも整えやすくなっています」と守備での効果も感じている。

「なるべく自由にポジションを取らせて、チームとしてブラジル人選手にボールをつけてあげたりすることは大事かなと思います」

 できるだけいいボールを供給することが、攻撃でも守備でもチームの優位性につながるのだ。中盤の底からトリオをしっかりとコントロールしていく青木が、ここからの主役になりそうだ。