6月19日の明治安田生命J1リーグ第18節で、FC東京は横浜FCとのアウェーゲームに臨んだ。タフなゲームで1-0の勝利をもたらしたのは、アダイウトンのゴール。ブラジル人3人で崩しきり、最後はGKの股下を抜いたが、狙っていたわけではないと正直に明かすのだった。

上写真=31分に決勝ゴールを挙げたアダイウトンがアシストのディエゴ・オリヴェイラと祝福。一気にゴールを陥れた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年6月19日 明治安田生命J1リーグ第18節(@ニッパツ/観衆3,537人)
横浜FC 0-1 FC東京
得点:(F)アダイウトン

「声を出して、それが聞こえたと思うんです」

 やっぱり、ブラジル人トリオだ。息の合ったコンビネーションがあまりにも美しい決勝ゴール。31分にアダイウトンが決め切った1点で、FC東京が横浜FCの追撃をかわして勝ち点3をもぎ取った。

 アダイウトンがセカンドボールを自陣左で拾ったのが始まり。左前のレアンドロに預けたボールは、左斜め前に走り込んだディエゴ・オリヴェイラに渡り、キープしている間に内側に走り込んだアダイウトンの足元に帰ってきた。これを右足でつついてゴール右に流し込んだ。わずかパス3本、アダイウトンがボールを持ってからたったの11秒で決めきった。

「練習から特に3人はいろいろなコミュニケーションを取っていて、いい関係です。ゴールについてはレアンドロが持ったときに自分とディエゴがパスコースを作りましたが、レアンドロはディエゴを選択しました。彼がキープしてくれたときに声を出して、それが聞こえたと思うんですけど自分に出してくれたので、運んで決めたものでした」

 ペナルティーエリアの中の、角度のないところで受けたが、飛び出してきたGK六反勇治の股下を抜いた巧みなフィニッシュだった。でも実は、狙っていたわけではなかったのだと正直に明かす。真面目なアダイウトンらしい。

「正直、シュートが股を抜けたかどうか、どういうゴールだったのか、分からなかったんです」

 これで公式戦で2試合連続ゴールだ。13日のルヴァンカッププレーオフステージ第2戦で湘南ベルマーレから2ゴールを奪って4-1として、逆転突破を決めている。その湘南戦ではレアンドロもディエゴ・オリヴェイラも決めてブラジルトリオが揃い踏み、長谷川健太監督もその勢いを持ち込むために、今季初めて3人を同時に先発させた。

「レアンドロが受けることが多いですが、みんなでゴールに向かう動きを心がけているので、レアンドロから僕にもディエゴにもいいパスが来ます。3人でいいオプションができるように考えています」

 一時期、コンディションを落としていたレアンドロが復調して、スピードとパワーとテクニックと、そして献身性をすべて備えた最高のトリオが帰ってきた。守備陣も集中して失点ゼロで最後まで守りきった。青赤の夏の逆襲が、ここから始まりそうだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE