前倒しで行われた明治安田生命J1リーグ第21節の横浜FC対川崎フロンターレの一戦。横浜FCの4選手が新型コロナウイルス陽性判定を受け、保健所より指定された濃厚接触者1人と計5人を除いて行われた。川崎Fも日本代表とU-24日本代表に計5人を送り込んで不在だったが、2-0で勝ちきった。

上写真=3日前の鹿島戦で劇的な決勝ゴールを決めた小林悠は、この日2得点。追加点をアシストした長谷川竜也と喜びあった(写真◎J.LEAGUE)

■2021年6月2日 明治安田生命J1リーグ第21節(@ニッパツ/観衆4,855人)
横浜FC 0-2 川崎F
得点:(川)小林悠2

「多くの人のサポートでゲームが行えたことに感謝したい」と早川知伸監督

 横浜FCと川崎フロンターレの「神奈川ダービー第2幕」は、川崎Fがまたも貫録勝ちを収めた。

 ともに多くの選手を欠く陣容になった。ホームの横浜FCは新型コロナウイルスの陽性判定を受けた4人と濃厚接触者1人、契約上、レンタル元の川崎F戦に出場できないマギーニョを除いてメンバーを組み、川崎Fは日本代表に谷口彰悟と山根視来、U-24日本代表に三笘薫、旗手怜央、田中碧を送り込んでいた。

 前半は横浜FCの「シュートゼロ」が示すように、ほぼ一方的に川崎Fのペース。主力を欠くとはいえ、家長昭博、脇坂泰斗、ジョアン・シミッチ、登里享平といったレギュラークラスがテンポをつくり、経験の浅い選手を引っ張って横浜FCを押し込んでいく。先制ゴールこそ39分と時間はかかり、右からの家長のクロスがクリアされたところで相手に当たってこぼれるという幸運にも恵まれ、こぼれ球を小林悠がしっかりと蹴り込んでみせた。

 一転、後半は横浜FCが主導権を奪っていく。早川知伸監督が「ボールをしっかりと奪いに行こう」と選手に伝えたことで、守備の強度がアップ。奪ったボールは、この日はボランチに入った高橋秀人のサイドチェンジに象徴されるように、左右に動かしながら前進していった。しかし、シュートは枠をとらえられない。守備でうまく追い込んでGKまで下げさせてミドルキックを蹴らせるところまではいったのだが、そのボールを回収しそこねた小さなミスが、決定的な勝負のあやになった。それが67分の川崎Fの追加点だ。

 川崎FのGKチョン・ソンリョンがバックパスをダイレクトで前方へ、横浜FCの中塩大貴はフリーだったがヘッドで横に流してしまい、これが脇坂泰斗の正面へ。一気にカウンターの形になり、左サイドのスペースへ送ると長谷川竜也が受けて逆サイドへセンタリング、またもや小林ががら空きのゴールに押し込んだ。

 ミスを逃さないしたたかさは、さすが川崎Fと言ったところ。このまま2-0で勝利を収めたが、鬼木達監督は相手がミスしたことについては「自分たちがミスを誘っていると思っている」と選手を評価。「いろいろなところで圧をかけていったことが、結果としてそうなっているので、いろいろなところで選手の頑張りがあると思います」と相手にミスをさせるゲーム運びの深みを称えた。

 横浜FCの早川監督は、陽性者が出た中での試合開催に感謝の意を伝えるとともに、そのミスについて悔やんだ。1点目は守備の整備に対する指示を送った直後だったということで、それだけに「もったいなかった」と肩を落とした。2点目も「リスクをかけて前に出たからでもありますが、予測のところも含めてやりたい」と改めて反省点を指摘した。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE