ついに開幕から20試合負けなしのリーグ記録を打ち立てた川崎フロンターレ。向かうところ敵なしだが、大きな強みの一つが左サイドのアタックだ。長谷川竜也と三笘薫という屈指のドリブラーを抱えるぜいたくさだが、後ろからサポートする登里享平もその喜びをかみ締める。

上写真=鹿島戦はしびれる展開だが勝ちきった。登里享平も「自信になる」と手応え(写真◎J.LEAGUE)

「2人ともオフ・ザ・ボールの動きはうまい」

 J1第17節の鹿島アントラーズ戦は、しびれるゲームになった。レアンドロ・ダミアンが先制し、後半にパワーをかけてきた鹿島に押し込まれて同点とされ、じりじりとゴールに迫られるが、交代直後の小林悠がアディショナルタイムに決勝ゴールを決めるという「等々力劇場」で2-1の勝利を収めた。

 左サイドバックの登里享平は「我慢する時間が多くて、みんなで耐えながら最終的に勝つことができて、ああいう戦い方になる前に追加点を取れればよかったんですけど、あの試合を物にできたのはチームとして自信になりました」と感激の一戦を振り返る。

 川崎フロンターレが誇る4-3-3の立ち位置で、サイドバックとウイングの関係は濃密だ。登里の前には昨季ケガで苦しんだ分も活躍を誓う長谷川竜也、あるいはいまをときめく三笘薫という2人のタイプの異なるドリブラーがいる。鹿島戦では三笘が先発し、同点に追いつかれたすぐあとの64分にこの日最初の交代策として、三笘に代わって長谷川が切り札として投入された。

 三笘の独特のリズムのドリブルは「ヌルヌル」と表現されるのに対し、長谷川は細かいステップワークをスピーディーに駆使する「キュンキュン」タイプだろうか。登里としては彼らが気持ちよくプレーできるように後ろからサポートしていく。

「2人ともドリブルが特徴の選手なので、フリーでボールを持たせるのもそうですし、詰まったときに中継というか後ろでサポートすることもそうですし、追い越してカットインさせるのか、自分がもらって数的優位をつくるか、相手を見ながら止まったらいいか抜けたらいいかを考えながらサポートするようにはしています」

 登里の関わり方によって相手が反応するから、それを見て三笘も長谷川もドリブルのコースやスピード、タイミングを選ぶことができる。

「2人ともオフ・ザ・ボールの動きはうまいですし、そこに出せるようにボールを置くところは心がけていますね。竜也ならスペースに仕掛けながら周りを使ったりするので、自分がパス・アンド・ゴーで出ていくイメージがあります」

 J1第13節のガンバ大阪戦で三笘が追加点を蹴り込んだ76分のシーンでは、前方のスペースにふわりと送って三笘を走らせたのだが、落ちたボールがゴールの方向に向かうように左足でカーブをかけて送ったテクニックは鳥肌ものだった。

 鹿島戦を終えて、谷口彰悟、山根視来が日本代表へ、三笘、旗手怜央、田中碧がU-24日本代表へと合流した。5人を欠いた状態で6月2日の第21節・横浜FC戦に臨むことになる。

「今回は相方が誰になるかわからないですし、自分も出るかわからないですけど、しっかりスペースにドリブルするなら僕が上がるタイミングが重要になってくるので、そこはしっかり見極めながらゴール前に進入していきたいと思います」

 登里&長谷川コンビで左サイドを組むことになれば、その言葉のとおりに登里が上がっていくその瞬間がゴールへのスイッチになるだろう。