上写真＝ブルーノ・メンデスが、同点ゴールをアシストしてくれた輪湖直樹（22）と歓喜の抱擁。ピンポイントのクロスを喜んだ（写真◎J.LEAGUE）
■2021年5月26日 明治安田生命J1リーグ第16節（＠ニッパツ/観衆3,311人）
横浜FC 1-1 福岡
得点：（横）クレーベ
（福）ブルーノ・メンデス
「外したとしてもみんなでカバー」
アウェーの自分たちの出足が重く、ホームの相手の展開は軽やかで、先制点も奪われた。そんな苦しい状況を救ったのが、ブルーノ・メンデスのヘディングシュートだった。
6連勝と絶好調のアビスパ福岡が、最下位の横浜FCのホームに乗り込んだJ1第16節。立ち上がりから苦しんだ福岡の、ようやくの同点ゴールは、59分に生まれた。右サイドからボールを運びながら、中央を経由して左サイドへ回した。輪湖直樹が右足に持ち出してインスイングのクロスを送ると、ブルーノ・メンデスがヘッドで優しくゴールに送り込んだ。
「クロスに対して相手の前に入ることを意識していました。いいボールが来たので、その通りに相手の前に入れて得点につながったいいシーンでしたね」
前半、どれだけ苦しんだかは、チームで放ったシュートがまさかのゼロという事実だけで明らかだろう。
「前半はなかなかいいサッカーができていませんでした。横浜さんの入りが良かったのですが、こちらの攻撃で細かいところでうまくできていなくて、全体としてもゲームの入りはとても悪かった」
そこからリカバーして自らのゴールで追いついてから、もう一つビッグチャンスも作っている。65分に杉本太郎のスルーパスで右の裏のスペースに抜け出したところで相手に手で引っ張られて倒れ、PKを獲得した。しかしこれは、フアンマ・デルガドが左に外してしまう。逆転のチャンスが逃げていった。
フアンマはその直前に交代でピッチに入ったばかりだから、試合のリズムにフィットしていなかったのか。
「蹴る人は決まっていないので、自分で蹴ろうと思いました。でも、フアンマが蹴らせてくれと言ったので、味方を信じて、チームですから自信を持った選手が蹴ればいいと思うので譲りました」
ピッチの上でそんなやりとりがあったことを明かすが、外したことを責めるつもりはない。
「フアンマは下を向く必要はありません。誰が蹴ってもいいですし、外したとしてもみんなでカバーし合います」
それでも結局は、ブルーノ・メンデスのゴールのおかげで勝ち点1を持ち帰ることができた。
「私のゴールが結局、勝ち点1につながりました。勝ちきるチャンスも作ったけれど、最終的に勝ちきれませんでした。でも、アウェーの難しい試合で勝ち点1を取れたのは良かった」
7連勝とはいかなかったが、チーム全体が思うようにプレーできない中でも負けなかった（そして十分に逆転勝利に近づいた）という事実が、福岡の充実ぶりを示しているようだった。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE