トーマス・デンが帰ってきた。5月19日のJリーグYBCルヴァンカップ第6節で、浦和レッズの頼れるセンターバックがピッチに立った。横浜FCに2-0で完封勝利を収めてCグループ突破を決めた一戦で、昨季11月以来のプレーで健在ぶりを見せた。

上写真=昨年11月以来の公式戦のピッチ。デンが帰ってきた!(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月19日 JリーグYBCルヴァンカップ第6節(@埼スタ/観衆4,252人)
浦和 2-0 横浜FC
得点:(浦)関根貴大、汰木康也

「良い日もあれば悪い日もあり」

 トミーことトーマス・デンがピッチに帰ってきた。JリーグYBCルヴァンカップ第6節の横浜FC戦。今季初出場を先発で飾ったデンは83分までプレーして、2-0の完封勝利に貢献した。

 長いリハビリだった。昨年11月29日のJ1第30節鹿島アントラーズ戦のあと、負傷でオーストラリアに一時帰国するなど、難しい時期が続いた。

「さまざまなフェーズがあって、良い日もあれば悪い日もあり、リバウンドで2、3日プレーできないときもあって、ストレスのたまる日もありました。少しずつ少しずつ努力しながら、光が見え始めてやっとここに戻ることができたので、すごくハッピーです。ここから試合を積み重ねていければと思います」

 この日は前半は槙野智章、後半は岩波拓也がパートナーになって、コンビネーションをじっくり確かめることもできた。

「まずは、いい入りで試合を進められました。支配できたところ、自分たちでしっかり流れをコントロールできていました。難しい時間はあまりなくて組織的にできました」

 多くの時間でボールを持つスタイルにあって、この日はカウンターの危機を察知することが主なタスクになった。そして、ボールを循環させるための起点にも。

「リカルド・ロドリゲス監督がしっかりした哲学をキャンプから注入して、浦和にとっていい方向に向かっています。もちろんボールを支配するのは自分たちの戦い方を進めやすくするためで、そこはやりやすいです」

 この試合ではセンターバックの右に立ち、右サイドバックの宇賀神友弥やアンカーの柴戸海らとショートパスを連動させてリズムを生み出して、新スタイルへの順応も上々だった。

「ケガを長い間していたので練習中もしっかり確認できたし、このまましっかりやっていければと思います」

 もちろん、どんなスタイルでも選手としてのベースは変わらない。

「サッカーが去年から変わったとはいえ、やるべきことに意識を注入して自分のベストをピッチで尽くせるようにします。リーダーシップを取りながら守るというところ、そしてチームメートを助けることが役割なので、そこに集中しています」

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE