上写真=開幕スタメンで驚きのデビューを果たすなど、樺山諒乃介がプロ1年目で躍動している(写真◎J.LEAGUE)
課題は「体力、コンディション、戦術理解、守備」
今季の横浜F・マリノスには、高校サッカー界から4人が加わった。いずれも興國高校からの加入だが、一番早くに出場機会をつかんだのが樺山諒乃介だった。しかも、J1で開幕スタメンという驚きのデビューだ。
その後もリーグ戦でベンチ入りが続いたが、出場時間はなかなか伸びなかった。ただし、ルヴァンカップでは2度先発するなどここまで全5試合に出場し、第4節のベガルタ仙台戦ではプロ初ゴールを記録している。
5月19日には、ルヴァンカップ最終節の清水エスパルス戦が待つ。すでにグループ突破は決まっており、普段以上に伸び伸びとプレーする絶好の機会。「選手層が厚くて、尊敬できる先輩が多いチームでは、自分が試合に出るのは簡単じゃないけれど、もしも明日チャンスが回ってきたら、自分の一番の良さを出せるように、いつもどおりガンガン仕掛けていきたいと思っています」と、初々しく語った。
一方で、プロの世界で自分の課題を痛感してもいる。「体力的なところとコンディション、戦術理解、守備というのがずっと課題」。体力面の強化などにコーチと一緒に取り組んできたといい、「見つかった課題に取り組んでいるので、継続的にやっていきたいと思います」と、地道に成長の努力を続けている。
結果の面でも、継続性を見せている。プロ初得点の後、エリートリーグでも浦和レッズ戦でゴールを挙げている。「エリートリーグでも結果を残したいという思いが強かった」と、自分に向いてきた流れを離さなかった。
ただし、そういうチャンスをつかみ切るのは簡単なことではない。換言すると、樺山の才能の一端を示しているとも言えるが、本人はさらりと語る。
「自分で言うのもあれなんですが、結構昔から中学でも、高校でプロのスカウトの人が来ているときや、大勢の観客がいるときとか、みんなが(緊張で体が)固まりやすいときに、あまり緊張しないので、自分だけちょっと調子が良いということが昔から多くて。そういうときに今までつかんできたというか、良い方向には向いていることが多いのかなと思います」
ルヴァンカップ最終節には、そんなルーキーに注がれる期待もさらに高まることだろう。そうであるならば、今度も樺山は「つかんで」いくかもしれない。
取材◎杉山 孝 写真◎J.LEAGUE