5月15日、明治安田生命J1リーグは第14節が開催され、鹿島アントラーズは横浜F・マリノスとカシマスタジアムで対戦。土居聖真がハットトリックを達成し、荒木遼太郎と上田綺世もゴールを奪取。攻撃陣が躍動して大量5ゴールを奪い、4連勝を成し遂げた。

上写真=自身初となるハットトリックを達成し、"イエローハット"を被る鹿島の土居聖真(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月15日 J1リーグ第14節(@カシマ/観衆11,630人)
鹿島 5-3 横浜FM
得点:(鹿)土居聖真3、荒木遼太郎、上田綺世
   (横)オナイウ阿道2、天野純

神の予言。「今日は聖真、点を取るよ」

 1993年5月16日、カシマスタジアムでジーコがJリーグ初となるハットトリックを達成した。その後、長谷川祥之(1995年)、マジーニョ(1997年)、柳沢敦(1998年)、フェルナンド(2006年)、野沢拓也(2006年)、マルキーニョス(2010年)、ドゥトラ(2012)がその地で後継者となり、そしてジーコの偉業から28年が経ったこの日、土居聖真の名が聖地での歴代ハットトリック達成者の系譜に刻まれた。

 実は試合前に、ジーコ・テクニカルディレクター(TD)から「今日は聖真、点を取るよ」と予言されていたことを土居は明かす。「普段は得点のことに関してはジーコさんに言われないんですけれど」と話すが、特別なお告げを受けた背番号8はJリーグで自身初となるハットトリックを成し遂げた。「まさか3点も取るとは思わなかったよ」と喜ぶジーコTDと「抱き合って喜びました。何か縁を感じます。すごくうれしかったです。今日は“和製ジーコ”ということで喜びたい」と、土居は笑顔を見せた。

1993年5月16日のJリーグ開幕戦(名古屋戦)でハットトリックを達成したジーコ(写真◎BBM)

「鹿島を引っ張る自覚は増しています」

 ここまでわずか1敗の2位横浜FMをホームに迎えた一戦は、相手に先制を許す展開となった。「負けている状況でしたが、何とか自分がチームを勝たせられればと考えていた」という土居に最初のゴールチャンスが訪れたのは40分。「コーナーキックのこぼれ球を白崎(凌兵)選手がよく折り返してくれて、そのボールを三竿(健斗)選手が決めたかなと思ったけれど、自分の後ろ側にボールがこぼれた」ところに素早く反応し、右足を振り抜いた。「ちょっと難しかったけれど、(シュート)コースが見えて上に蹴れたのがイメージ通りでよかった」と同点ゴールを奪った。

 土居が「いい時間に同点ゴールを取れたことは、90分を通してすごく大きかった」と振り返るように、前半終了間際にスコアを振り出しに戻して後半開始早々のゴールショーにつなげた。

 勝ち越し点が決まったのは、後半のキックオフの笛が鳴ってからわずか32秒後。「白崎選手が良い形で前を向いて、(相手の)キーパーが出るか、出ないか迷うような絶妙なパスをくれた」と土居が絶賛する白崎のスルーパスに抜け出し、「自分のタイミングで、落ち着いてシュートを打てました」と相手GKとの1対1を制して逆転ゴールを奪った。極めつけは53分、今度は土居のスルーパスに反応した松村優太が相手ペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得すると、ボールを手に取った土居が冷静に相手GKの逆方向へキックを成功させた。

「前回、横浜FC戦のときにもPKを蹴りましたが相手に防がれていたので、練習した成果がしっかり出ました。(クォン・)スンテ選手から相手ゴールキーパーの情報も入っていて、PKの前から“今日は点を決めます”ということを言っていたのでよかったです」

 公式記録上では40分、46分、53分と、わずか13分間で3得点を奪ってみせた。その後、チームのトップスコアラーの荒木遼太郎と上田綺世も加点し、リーグ戦4連勝中だった横浜FMを撃破。「サッカー人生の中で、最後にハットトリックしたのはいつだったかちょっと覚えていないし、プロとしても、この生涯ですることはないだろうなって思っていた」と本音を言いつつも、「いつも応援してくれるファン・サポーター、家族、支えてくれている人たち、そしてチームメイト、スタッフに感謝したいです」と自身の記録とチームの勝利を喜んだ。

 鹿島の勢いは止まらない。リーグ戦の連勝を「4」に伸ばし、順位を今季最高の6位に上げた。「勝って上位陣に食らいついて、もっともっと上に行こう」と、チームの自信が深まり、士気も高まっている。その中で鹿島一筋の土居は言う。

「もちろん、鹿島を引っ張っていかなければいけないという自覚は年々増しています」

 栄光も苦悩も知るバンディエラが、相馬直樹監督体制のチームをさらなる高みへと導いていく。

取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE