上写真＝3-0とするゴールを決めたアダイウトンが両手でハートをつくって祝福。自慢のスピードを存分に生かして2ゴール1アシストで勝利に導いた（写真◎J.LEAGUE）
■2021年5月15日 明治安田生命J1リーグ第14節（＠三協F柏/観衆4,484人）
柏 0-4 FC東京
得点：（F）ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン2、三田啓貴
「選択肢を増やす意味で走り抜けたら」
アダイウトンの「2ゴール半」がFC東京にようやく勝利をもたらした。
11分、MF安部柊斗のパスを受けてそのまま左でDF大南拓磨を振り切ってから、GKキム・スンギュが出てくるのをしっかり見極め、右足のアウトサイドでボールの下を切るように蹴って中央へ、FWディエゴ・オリヴェイラの先制ゴールをお膳立てした。ディエゴ・オリヴェイラが触らなくてもゴールに入ったかもしれないと2人で話していたというから、半分はアダイウトン自身の得点と言えるかもしれない。
17分には相手ミスからMF高萩洋次郎がキム・スンギュと1対1に。その左側を駆け抜けた。
「高萩が持ったときに選択肢を増やす意味で走り抜けたらボールが来たので、ゴールにつながりました。久しぶりに決めたのでうれしかった」
高萩からのパスは少しだけ強くなったが、左足を伸ばしてしっかりとゴールに送り込んでみせた。5試合ぶりのスコアになった。
すると1分後だ。今度は左サイドでビルドアップに参加したあとに前へ。ワンタッチのパスの連続から高萩がヒールパス、これに抜け出したアダイウトンがそのままゴールに一直線、右に流し込んだ。
「過程はあまり覚えていないけれど、ボールが転がっていったのでスペースに抜けていって、キーパーも出ていたので流し込むことを意識してていねいに入れた印象です」
GKとDFの寄せをよく見て、右足インサイドで送り込んでいる。これで「2ゴール半」だ。
「いま、チームに結果が出ていなかった中で苦しい思いをしていましたが、ゴールが前半のはじめに入って非常によかったです。最初のゴールは高萩選手からいいパスが来て、それを受けて決めることができましたし、2点目も落ち着いて決められたと思います。それに、（1点目で）ディエゴにもパスができてよかった」
ここまで5連敗で、1カ月以上、白星はおろか、引き分けすらなかった。そのうち3試合で誰も一度もゴールを割ることができなかった。特にここ2試合は、横浜F・マリノスと鹿島アントラーズに連続で0-3という完敗を喫している。
「勝てない中で厳しかったですけど、自信が足りなかったと思います。今日の勝利で自信を取り戻すことができたのでとてもよかった」
この勝利で失っていたものを取り戻した。4-0というビッグスコアももちろんだが、それによって自信を取り返したという事実こそが、何よりも重要だった。アダイウトンの「2ゴール半」が、その源である。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE