明治安田生命J1リーグ第13節でガンバ大阪とのアウェーゲームを制した川崎フロンターレ。これで13勝2分けとして悠々と首位を独走している。厳しく守られてもその守備網を破ってゴールを決めるが、根底にはやはり「基本」があるのだと鬼木達監督は語る。

上写真=G大阪との厳しいアウェーゲームを制した選手たちを、鬼木達監督は高く評価した(写真◎J.LEAGUE)

およそ2カ月前の経験が

 異変、といったら大げさだが、あの超攻撃的な川崎フロンターレが時間稼ぎをする姿に意外性を感じた人も多いようだ。

 J1第13節でガンバ大阪と対戦したアウェーゲーム。41分にレアンドロ・ダミアンが先制、76分に三笘薫が追加点を挙げて、2点のリードのまま終盤に差し掛かる。まずは1点を返そうと意気込むG大阪が押し気味に向かってくる。そこで、時計の針を進めるためにコーナー付近にボールを運んでキープすることが何度かあった。川崎Fは「1試合3得点」の目標を自らに課している。まだ1点が足りないのに、守りに入った。

 およそ2カ月前の経験がここに自然に投影されていると話すのは、鬼木達監督だ。「今回はこちらから選手にアプローチはしていないですが、一番フォーカスしたのは神戸戦で引き分けたときですね」。3月17日、第5節ヴィッセル神戸戦は1-1で引き分けたのだが、72分に先制して逃げ切りを図るものの、90+10分という終了間際に同点にされてしまった。

「(神戸戦は)アウェーで1-0という状況で何が起こるか分からない中で、中途半端なことが何回か続きました。それは考えなければとそのとき話をしたんです。もちろん、これがホームゲームで、行けそうなら畳み掛けてもいいだろうし、ワンチャンスで入ってしまうからそのスキを見せないためには相手にチャンスを与えないという判断も尊重できます。1試合3点以上、という目標も見ている皆さんの頭にあると思いますけれど、ゼロで抑えるというのも成長させていく上で大事なことだと思っています」

 攻め抜いて勝つのも川崎Fなら、確実に勝ち点3を手にするために守り抜くのも川崎F。

「チャンスをチャンスにする」

 そのG大阪は4-5-1に近い布陣でしぶとくスペースを消してきた。だから逆に、G大阪が攻めに出てきた裏を突いて2点を奪いきったのはさすがだ。相手を見てプレーを選ぶ、というコンセプトにおいては、相手がスペースを作ってくれた瞬間をチーム全員が見逃さないことも、終盤に相手が嫌がることをするために時間を稼ごうと協力し合ったことも、まさに相手の状況から選択した意思統一だ。

「焦れずにやることが改めて大事だなと思いましたね。(相手が引けば)後ろでフリーになる時間はあるんですけど、持ちすぎるとなかなか前の選手のテンポが出なかったりします。その繰り返しというところからほころびが出てくるので改めて大事だと感じました。途中から揺さぶれるようになりましたけれど、結局は相手を見てプレーすることにつながるので、時間とともに良くはなっていきました」

 要するに、何でもできるということだ。もちろん、この試合も激しくゴールを目指していた。

「3点以上という目標もありますし、チャンスをチャンスにするというか、チャンスを逃さずにチャンスをチャレンジしなさいと言っているし、とにかく走りきらないとチャンスにならないので、走ることからいろいろなものが生まれるんです。選手はここぞ、という、逃してはいけないタイミングで走り始めていて、その選手を使った方が有効か、おとりにするのが有効かはボールホルダーの判断ですが、そこを合わせることが私たちの強みなので、もっともっと合わせればいいと思っています」

 川崎Fの圧倒的な強さは他の追随を許さないが、やはり基本は「走る」ことなのだ。そして、いつ走るか、どう走るのかにオリジナリティーがある。