上写真=今季はセンターバックで戦う車屋紳太郎。先発5試合目で2度目の完封勝利に貢献した(写真◎J.LEAGUE)
■2021年5月8日 明治安田生命J1リーグ第13節(@パナスタ/リモートマッチ)
G大阪 0-2 川崎F
得点:(川)レアンドロ・ダミアン、三笘薫
「我慢の時間で失点しなかったのが大きい」
「無失点がアピールになると思います」
誰にとってもクリーンシートは理想だが、川崎フロンターレのDF車屋紳太郎にとってはなおさらだ。左サイドバックとセンターバックでプレーできる能力を、ことしはセンターバック一本に注ぐ決意を鬼木達監督に伝えている。
川崎Fのセンターバックは谷口彰悟とジェジエウという2枚看板が自慢だ。そこに割って入るためには、出場した試合で失点を食らわないことが最も重要だ。
「ジェジエウとショウさん(谷口)との競争のためには、結果を残さなければいけなかったですから」
J1第13節のガンバ大阪戦で、車屋は左センターバックとして先発出場。それまでの先発4試合で無失点は一度だけだったから、もちろん一人で守れるわけではないけれど、ゴールを許さないことへの意欲は並々ならぬものがあった。
そして結果は、2-0。見事に達成だ。
「1試合を通したら相手の時間はありますし、チームが苦しいときにはみんな体を張ってプレーしていました。途中から入った(三笘)薫の推進力や知念(慶)のパワーも加わって、耐えてカウンターを狙うこともできていました。我慢の時間で失点しなかったのが大きい」
即時奪回のポリシーも徹底されて、危険なシーンは少なめ。そうなると、ビルドアップの能力を見せる機会が増えていく。左利きのセンターバックは貴重だ。
「センターバックに時間があったので、自分で運んでみたり周りにシンプルに預けてリズムを作ったりというのは自分の特徴でもあるので、うまく出せたと思います」
G大阪はウイングの選手がセンターバックに厳しく寄せてきていて、車屋には一美和成が何度もチェックに来た。
「前半から結構遠い距離から走ってきていたと思っていましたけど、その矢印を利用してシンプルに(旗手)怜央や(長谷川)竜也に渡して幅を使いました。左足で巻くようなボールを供給することを意識していましたし、自分の左足を狙って外側から来るなら、運んで中に行こうともしていました」
左サイドバックの旗手と左ウイングの長谷川と連係しつつ、一美をはがせば目の前にスペースができる相手の連動のスキを突いて、自分で持ち運ぶこともできた。
「チャレンジすることでミスは出るかもしれませんが、ハーフコートでプレーするのが僕たちの特徴なので、そこは何度もやり直していきます」
そんな強気な姿勢が、無失点と、ビルドアップの優位性を生んだ。左利きのセンターバックは希少な存在。やはり魅力的である。
写真◎J.LEAGUE