5月8日の明治安田生命J1リーグ第13節で、ガンバ大阪が首位の川崎フロンターレをホームに迎えた。リモートマッチ(無観客試合)として行われた一戦で、中5日のG大阪、中3日の川崎Fと条件が異なったが、勝ちきったのは川崎Fの方。つないで決めきれなければカウンターで仕留めてしまうという強さを見せつけ、早くも13勝目を挙げて無敗も続けている。

上写真=交代出場した三笘薫が76分、左サイドを抜け出して持ち込み、そのまま鋭くゴールに突き刺して2-0とした(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月8日 明治安田生命J1リーグ第13節(@パナスタ/リモートマッチ)
G大阪 0-2 川崎F
得点:(川)レアンドロ・ダミアン、三笘薫

皮肉な2失点

 ガンバ大阪にとっては、皮肉な失点だったかもしれない。

 ともに4-3-3システムを採用してはいるが、戦い方はやはり異なり、一日の長がある川崎フロンターレがほぼボールを操りながら進める展開。G大阪は自陣で守備のブロックを敷くときには、右ウイングの一美和成と左ウイングの宇佐美貴史が下がって4枚と5枚のラインを並べるようにして距離を近づけ、川崎Fが狙いたいエリアに混雑する空間を作っていった。

 川崎Fから見れば窮屈な場所を攻略しようとすることになり、何度かサイドを割るシーンもあったが、なかなかゴールには結びつかない。G大阪が作り出す密集が川崎Fの攻撃力を減じる効果を発揮していた。

 皮肉なのは、G大阪が自らその密集を手放したことで川崎Fの先制点が生まれたことだ。

 41分、G大阪が攻撃に出て宇佐美貴史が川崎Fの左サイドを割ってセンタリング、それが逆サイドに流れてからの川崎Fの仕掛けが速かった。G大阪が攻めに出たということは、混雑が解消され、スペースがふんだんにあるということ。流れたボールを山根視来が素早く家長昭博に縦パス、中央でサポートした脇坂泰斗に渡すと絶妙のスルーパスで左の裏を取る。走り込んだ長谷川竜也が中に切り込み、最後はレアンドロ・ダミアンが左足で蹴り込んだ。

 せっかく消していたスペースを、攻めに出ることによって生み出してしまう難しさ。それは後半にも味わうことになった。

「揺さぶる攻撃があれば」と宮本監督

 後半開始から立て続けに川崎Fが攻め込みながら決められないでいると、徐々にG大阪が相手陣内でプレーする場面が増えていく。66分にはペナルティーエリア内左でこぼれ球にいち早く反応した宇佐美が左足で強烈に狙った。これはGKチョン・ソンリョンにストップされるのだが、G大阪が左サイドを起点に押し込み始めていった。しかし、これでまたもスペースを明け渡してしまうことになった。

 それを川崎Fは見逃さなかった。76分、一度は攻撃を防がれたものの、カウンターに出ようというレアンドロ・ペレイラへの縦パスを旗手怜央がプレスバックして強奪すると、逆カウンターを発動、左サイドの裏を登里享平のロングパスで取り、抜け出した三笘薫が一気に持ち込んで、角度はなかったものの右足でゴール右へと突き刺した。

 川崎Fはこのまま2-0で勝って、3連勝で今季13勝目。鬼木達監督は、名古屋グランパスとの2試合連続頂上決戦のあとで疲労の影響があったにもかかわらず、勝ちきったことを高く評価。「タフなゲームを経験したあとにこのゲームをどう戦うか、すごく楽しみにしていました。メンタル的なタフさを、相手を受けるのではなくて自分たちからアクションを起こしたことで見せてくれて、意気込みを感じました。突き抜けていきたいと思っています」と選手を称えた。

 この試合までの8試合で2ゴールのみと苦しんでいたG大阪は、この日も無得点で、9試合中7試合がノーゴール。宮本恒靖監督は「相手陣内に入ったときのボールの動かし方を落ち着きを持ってやれればと思います。速い攻めも何回かありましたが、相手の最初のプレッシャーをかいくぐったあとに揺さぶる攻撃があれば」と攻撃を振り返っている。

写真◎J.LEAGUE