2021年5月5日、JリーグYBCルヴァンカップ・グループステージ第5節が開催された。三協フロンテア柏スタジアムでは、柏レイソルと浦和レッズが対戦。浦和が前半に新戦力ユンカーの得点で先行したが、柏も後半、新戦力アンジェロッティの2ゴールなどで3-1と逆転。そのままホームチームの勝利で終わるかと思われたが、浦和がアディショナルタイムに猛攻を仕掛けて2ゴールを挙げ、GS突破に向けて互いに負けられない試合は3-3のドローに終わった。

上写真=2ゴールを挙げた柏のFWアンジェロッティ(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月5日 JリーグYBCルヴァンカップGS第5(@三協F柏/観衆3,775人)
柏 3-3 浦和
得点:(柏)アンジェロッティ2、古賀太陽
   (浦)キャスパー・ユンカー、伊藤敦樹、関根貴大

・柏メンバー:GK佐々木雅士、DFエメルソン・サントス、上島拓巳、田中隼人、MFイッペイ・シノヅカ、三原雅俊(77分:椎橋慧也)、ドッジ、大嶽拓馬(77分:古賀太陽)、FW細谷真大、マテウス・サヴィオ(58分:仲間隼斗)、ペドロ・ハウル(45+2分:アンジェロッティ)

・浦和メンバー:GK鈴木彩艶、DF宇賀神友弥、岩波拓也、槙野智章、山中亮輔(79分:伊藤敦樹)、MF田中達也(64分:関根貴大)、金子大毅、阿部勇樹(46分:小泉佳穂)、汰木康也、FW杉本健勇(64分:興梠慎三)、キャスパー・ユンカー(58分:明本考浩)

アンジェロッティと仲間の登場で潮目が変わった

 先に点を取ったのは、アウェーの浦和だった。9分、新戦力のユンカーがネットを揺らす。左サイドから汰木がカットインするのに合わせ、右から斜めに走って裏へ飛び出し、左足を一閃。見事にパスを呼び込んで決めた。

 早々に追いかける展開となった柏は前向きの守備からゴールを目指すが、前線に起点をつれず、前半は攻撃が機能しない時間が続いた。潮目が変わったのは、1トップを務めていたペドロ・ハウルが前半終了間際に負傷によって退き、アンジェロッティが入り、さらにサヴィオに代わって仲間がシャドーの位置に入ってからだった。アンジェロッティがボールを収め、仲間がフォロー。2人の距離感がよく、前線に躍動感をもたらした。

 仲間がピッチに入った直後の59分、同点ゴールも生まれる。左からのFKの場面。ゴール前に送られた鋭いボールをアンジェロッティがヘッドでとらえ、見事にネットを揺らした。さらに、である。67分にはアンジェロッティが前線で粘ってボールをつなぐと、仲間がボックス内で相手に倒され、PKを獲得。これをアンジェロッティが決め、柏が逆転に成功した。

 前線でボール収めるアンジェロッティ、そのフォローをしつつ、守備になればすぐさまスイッチを入れて相手に食らいつく仲間。2人の存在がチームを活性化させたのは間違いないところだ。逆転して以降も柏の時間帯が続き、84分には3点目もマークする。アンジェロッティ、古賀、仲間とつないで、リターンを受けた古賀がボックス内からシュート。一度は止められるも、再度のシュートが相手DFに当たってゴールに吸い込まれた。

 残り5分あまりで3-1と柏が2点をリード。勝負は決したかに思われた。しかし、このあとに劇的な展開が待っていた。およそ5分あったアディショナルタイムに浦和が2点を奪って、ドローに持ち込んだのだ。まず90+2分。右CKから槙野、興梠となつないで、最後は伊藤が蹴り込んだ。そして90+4分。自陣から速攻を仕掛けて小泉が相手最終ラインの裏へ出したボールを関根が収めて抜け出しに成功。GKの位置を冷静に見極めながらシュートを放ち、土壇場で3-3の同点に追いついた。

「前半に関しては良い時間帯に点を取りましたし、相手に決定的な場面を作らせることなく、試合を展開できたと思います。後半に関しても選手交代をしながらボールを握っていこうと思っていたのですが、ある時間帯に立て続けに失点して難しくなった。ただ、選手たちは最後まであきらめずに同点に追いついた。次の試合で自力で突破する可能性も残しました。気を抜かずに、最後に勝ち抜けられればと思います」

 最後の最後で追いついた浦和の指揮官のリカルド・ロドリゲス監督は言った。そして勝利をつかみかけながら追いつかれることになった柏のネルシーニョ監督は、こう試合後に語っている。

「ハーフタイムに選手たちに、前半の戦い方を後半も続けられれば必ず後半、好転すると伝えていました。実際に3-1という形になり、優位にゲームを進めることになりました。最後に追いつかれて引き分けてしまい、結果を見れば非常に残念ということになる。ただ、今日の試合は失ったものよりも得たものの方が多い。これまでなかなか出場機会のなかった選手が要求に応えてくれました。グループステージの最後の試合を勝利で終えることができれば、次のステージに進める可能性が残っている。それに向けて準備を進めていきたい」

 失ったものよりも得たものが多いーー。それは両チームともに言えることだろう。新戦力の活躍があり、選手が諦めずに戦い、そして次の試合に突破の可能性を残した。5節を終えてCグループの順位は、1位に勝ち点7で横浜FCと湘南が並び、3位に勝ち点6で浦和、4位に勝ち点5で柏がつける。プレーオフステージ進出の2チームが決まるのは、5月19日。柏は敵地で湘南と、浦和はホームで横浜FCと、運命の一戦を戦う。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE