5月4日の明治安田生命J1リーグ第12節唯一の試合は、川崎フロンターレと名古屋グランパスの「連続頂上決戦」の第2ラウンド。4月29日の最初のゲームでは川崎Fが4-0で圧勝していたが、5月4日の第2戦は名古屋の踏ん張りが目立った。川崎Fが3点を連取しながらも名古屋が2点を決めて最後まで追い上げたが、わずかに及ばなかった。

上写真=ジェジエウがCKからヘッドで決めて先制。川崎Fは頂上決戦で連勝だ(写真◎小山真司)

■2021年5月4日 明治安田生命J1リーグ第12節(@等々力/観衆4,954人)
川崎F 3-2 名古屋
得点:(川)ジェジエウ、山根視来、オウンゴール
   (名)稲垣祥、マテウス

59分までに川崎Fが3点リード

 最初にスコアが動いたのは31分だった。左CKを中央でヘディングシュート。蹴ったのは田中碧。決めたのはジェジエウ。川崎フロンターレがまたも先制だ。

 首位・川崎フロンターレと2位・名古屋グランパスの連続頂上決戦。4月29日には川崎Fが名古屋に4-0で圧勝していて、名古屋がどこまで盛り返すかが注目だった。前回、3点取られたあとに採用した4-3-3システムでスタートから中盤を厚くして臨んだ。当然ながら、ボールへの執着は激しく、球際に強く戦いにいく意欲はピッチのあちこちで見られた。しかし、そこからいざ攻めに出るときにミスが出てしまう。

 頼みの綱はマテウスだ。この日は左ウイングに入ってどんどんボールを集め、そこから自慢のスピードでドリブル突破したり、強烈なクロスでチャンスメークに奔走した。しかし、象徴的だったのが29分のシーン。川崎Fのクロスが流れ、左深くで吉田豊が拾って前のマテウスに渡し、ドリブルに入った。ところが、サポートがなくパスコースを探してスピードダウンしたところであっという間にジョアン・シミッチ、旗手怜央、田中碧に囲まれてボールロスト。マテウスの速さに周囲が追いつけない歯がゆさが表れた。

 後半が始ってすぐ、50分には左サイドを三笘薫がするすると抜け出して折り返すと、中央で待ち構えていた山根視来が押し込んで2点目。59分にはオウンゴールで川崎Fが3-0として、早くも勝負あったかに見えた。

 しかし、ここからが見せ場になった。

「結果として変な試合という感想」とコンカ・コーチ

 名古屋は前回の悔しさをぶつけるかのように、逆襲していく。齋藤学、森下龍矢、ガブリエル・シャビエル、柿谷曜一朗と、攻撃に特徴のある選手を次々に送り込んだ。ポイントは交代選手のクリエイティブな技術を存分に組み合わせたこと、そして、左利きのマテウスを右ウイングに移したことだった。

 73分、そのマテウスがキープすると森下が右外を深々と破るオーバーラップを見せてボールをもらい、落ち着いてマイナスへ。稲垣祥が流し込んで1点を返す。さらに押し込んで、右サイドで得た83分のFK。角度があまりなくゴールまでの距離もあったが、左足で蹴って落ちるボールを左ポストにぶつけてそのままゴールに送り込むパワフルで芸術的な一撃で1点差に迫った。

 川崎Fは89分に車屋紳太郎と塚川孝輝を投入し、選手の並びも4-4-2にして守備固め。結果的には5分のアディショナルタイムを含めて川崎Fが逃げ切った形だが、名古屋がそこまで追い詰めたのは確かだ。川崎Fの鬼木達監督が「少し中の方でバタバタしてしまって、形を変えることによってプレスのかけ方や行き方をはっきりせざるを得なかったので、中途半端さをなくすために守備も含めてシステムを変えました」と話したほどだ。

 それでも、勝ったのは川崎F。鬼木監督は「名古屋との首位決戦で連勝できたことは選手が頑張り続けた結果です。最後の最後まで勝つための努力してくれました」と選手を称えた。これでついに、2位名古屋と勝ち点9差をつけて独走体制に入った。

 この日も新型コロナウイルスの陽性判定を受けた名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督はベンチ入りできず、代わって指揮を執ったブルーノ・コンカ・コーチは「結果として変な試合という感想」が第一声。「要所要所でファイトして悪くなかったし勝つためのプレー、ひっくり返すためのプレーをしてくれました」と前回の大敗を取り戻す意欲を称えた。しかし「失点の場面は3つともミスが出て、気持ちの上で充実していて戦っていても、ミスすると負けるのがサッカーなんだというゲームをしてしまった」と嘆いた。

現地取材◎平澤大輔 写真◎小山真司

首位攻防戦第2ラウンドは川崎Fのジェジエウが今季初ゴールで先制を決める