上写真=5月3日、鹿島アントラーズのトレーニングを行なうアルトゥール・カイキ(写真◎KASHIMA ANTLERS)
家族思いのアタッカー
「いろいろなところからオファーを持ってくるけれど、日本からはないの?」
アルトゥール・カイキがブラジルのクラブに所属していたときのこと。代理人との会食中に、日系人の妻がそのように尋ねたという。すると、「その翌日に日本からオファーが来て、僕は迷うことなく(日本に)行くことを決めました。僕は日本の良いことしか聞いていなかったので」と、カイキは鹿島への移籍を決断した。
2人の娘の父親でもあるカイキは、家族思いの一面も持つ。「僕はサッカーしかプレーできないので、サッカーでチームに良い影響をもたらし、将来的に娘たちに良い生活、安定した生活を与えることができればと常に思いながら、一生懸命プレーしている」と、娘たちへの思いが原動力でもある。「伸ばしてみたら意外と良かった」というたくましいヒゲは妻と娘たちにも気に入られており、カイキのトレードマークになっている。
身長174センチ、体重71キロと決して大柄ではないが、「パワーとスピード」がカイキの特徴だ。そして、「武器といえば、やはり決定力」と話すように、精度の高いシュート技術を併せ持つ。「それを発揮することができれば」と、実戦へ向けて着々と準備を進めている。
4月7日に来日した後は、新型コロナウイルス感染症防止のための隔離を強いられたが、その間は「(鹿島の)ギリェルメフィジカルコーチと個別にオンラインで準備をしてきた」。その後、チームに合流し、「やっとみんなと顔を合わせて、一緒に練習することができて、非常にうれしく思っています。一日でも早く自分のコンディションを取り戻して、監督が選ぶことのできる選手の一人になっていければ」と、充実した表情をのぞかせる。
深紅のユニフォームを身にまとい、背中に「17」の数字を記してカシマスタジアムのピッチに立つ日が来るのも、そう遠くはないだろう。
「攻撃の選手でも、守備の手助けをしなければいけない。自分はキャリアの中でそういった意識を持ってプレーしてきたので、出場する機会があれば、そういった“チームとしてのやるべきこと”をしっかりとやりながら、自分の色を出していければと思っています」
相馬直樹監督の下で反撃態勢を整える鹿島に、ついに今季のラストピースが加わった。