明治安田生命J1リーグ第12節で行われた、5月2日の大阪ダービー。ホームのセレッソ大阪が先制したものの、アウェーのガンバ大阪が追いつく展開で、結局1-1のドローに終わった。G大阪は得点力回復のためにも4-3-3システムを復活させて臨んだが、矢島慎也は自らが逃した絶好機の反省と、新しいスタイルへの準備不足を口にした。

上写真=矢島慎也は4-3-3の左インサイドハーフでプレー。絶好機も迎えたが決めきれずに深く反省した(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月2日 明治安田生命J1リーグ第12節(@ヤンマー/リモートマッチ)
C大阪 1-1 G大阪
得点:(C)中島元彦
   (G)パトリック

「やっている側としては全然」

 41回目の大阪ダービーは1-1のドロー。ガンバ大阪にとっては追いついての引き分けだった。ただ、矢島慎也には決定機を逃した悔恨が残る。

「決めるべきシーンがあったので…。あそこは、宇佐美くんからのクロスを相手のサイドバックの選手が触るかと思って、それで(シュートの)コースが甘くなってしまって。あそこは信じて入っていくべきだったと、悔しいというか、しっかりやらないといけないと思いました」

 それは25分のシーンのことだ。CKの流れから、はね返されたボールを山本悠樹が右裏のスペースに浮き球で送り込むと、宇佐美貴史が相手DFの頭を越える絶妙なセンタリング、これを矢島が右足で狙ったのだが、その言葉にあるように、相手に触られるかもしれないという難しい判断を強いられたために、フィニッシュに力を込めきれなかった。

 前節の名古屋グランパス戦から9日があいた変則日程で、この間、宮本恒靖監督は攻撃の構築に多くの時間を割いたことを明かした。それまでの7試合でわずか1得点しか記録していないからだ。今季トライしながら新型コロナウイルスによる活動停止の影響で一度は断念していた4-3-3システムを、この大阪ダービーで復活させた。矢島は左のインサイドハーフを任された。

「やっている側としては全然、ですね。一人ひとりのポジショニングや、誰がどう動いたらどうなる、というような細かいところを突き詰めていけばチャンスが生まれると思います。でも、結局サイドまで持っていっても、相手のセンターバックが動いていなくていい状態でいるところにクロスを送って、ニアで引っ掛けられてセカンドボールを拾われたり、攻撃と守備のどちらがダメということではなくて、つながっているので、前からはめるのにどう動いたらいいのか、とか、チームとして積み重ねがなかなか難しいという感じです」

「11人が感じ合っていいポジションを取って」

 新しい戦い方をすぐに習得しようとしても、それはさすがに難しいだろう。矢島は「誰が出てもチームのやり方をやるのがベストですけど、いまはチームのやり方を模索している感じだと思います」と続ける。

「理想はあるけれど、なかなかつながらなくて点が取れていません。守備も、ヒガシ(東口順昭)や(昌子)源、(三浦)弦太が体を張ってくれていますけど、意図的にボールを取れているかと言うと、連動している感じではありません」

 そしておそらく、その悔しさはこの一言に集約されるだろう。

「いきなりやれと言われてできるほど、そんなに甘くはないですよね」

 だから、地道に積み上げていくしか方法はない。

「ピッチの中で気づいてやれればいいと思います。自分ではこうしたいというものがあって、(アンカーに入った)悠樹にも伝えているんですけど、自分と悠樹の関係だけでは日本トップのリーグでは難しい。11人が感じ合っていいポジションを取っていこうとすることで、ボールを持つことにつながっていくと思います」

 5月だけでも7試合をこなさなければならず、次節は無敗で首位を走る川崎フロンターレを迎えることになる。それこそ川崎Fは、4-3-3システムを操って圧倒的な強さを獲得したチームだ。いわばモデルケースになりうる存在。

 昨季のアウェーゲームでは0-5の大敗を喫してリーグ制覇を目の前で見せつけられ、天皇杯決勝でも0-1で敗れて賜杯を掲げられた。そんな彼らに一泡吹かせるために、そして4-3-3のヒントを盗むために、全力で向かっていく。