首位の川崎フロンターレとの連戦となった2位の名古屋グランパス。最初のホームゲームはしかし、まさかの0-4という敗戦になった。その大きな原因として、開始3分の失点後の振る舞いを挙げたのが米本拓司だ。だから、声を出し続けた。下を向かないために。

上写真=米本拓司が悔やんだのは最初の失点のあと。下を向かずに戦いたかった(写真◎J.LEAGUE)

「このままでは5点、6点、7点と…」

「川崎は非常に強かったですし、入りの部分で失点したのがきつかったと思います」

 首位の川崎フロンターレと戦う「頂上決戦」2連戦の初戦。4月29日に豊田スタジアムで行われた雨中のゲームは、まさかの0-4という大敗だった。ここまで12試合で与えた失点はわずかに3だったが、それを90分で上回られてしまった。

 米本拓司にとっては、わずか3分に旗手怜央に食らった最初の失点そのものもそうなのだが、その直後のチームの振る舞いを余計に悔やんだ。

「立ち上がりに失点して立て続けに取られたのでこのスコアになりましたが、最初の1点を取られても下を向かずに、前半は0-1で終わればというぐらいの気持ちでやれればよかったです」

 自慢の堅守があっけなく壊された。その衝撃は、見ている者が感じる以上にピッチの中では強い影響を及ぼしていたのだ。米本が「浮足立っている状態だし、セカンドボールも拾えない」と感じるほどに。

「このままだと…結局4失点しましたけど、5点、6点、7点と取られてもおかしくない試合になると思いました。ホームですし、もう1回、戦っている姿を見せないといけなかったし、全員が下を向いてもダメなので、何とか一人でも多く上を向かせようと声を出していました」

 フィッカデンティ監督がのどの痛みを訴え、オンサイト検査で判定保留のために急きょ指揮を執ったコンカ・コーチも、30分と早々に2人を交代させた。「チーム対チームである以前に相手が優位に立っていました。気持ちを見せなければと鼓舞していましたが、必要だと思ってあの時間で交代を打ちました」と明かしている。

 このわずか5日後には、同じ川崎Fとの「第2ラウンド」がやってくる。まさに「戦う姿」が問われるだろう。

「でも、終わったことはしょうがないし、またすぐ試合あるので改善していい準備をしたいと思います」

 米本はこのままで終わるつもりはない。だからまた、声を出し続ける。