横浜FCはルヴァンカップのグループステージ第4節の柏レイソル戦で2-0と快勝した。今季2度目の無失点勝利に貢献したのが、今季初出場となった市川暉記だ。出場機会をつかむべく努力を続けてきたGKは、この勝利を「Jリーグにつなげていきたい」と語った。

上写真=今季初出場を果たした市川暉記。無失点勝利に貢献した(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月28日 JリーグYBCルヴァンカップGS第4節(@ニッパツ/観衆1,891人)
横浜FC 2-0 柏
得点:(横)ジャーメイン良、岩武克弥

Jリーグ出場組に危機感を与えられたら

リーグ戦は未勝利。ルヴァンカップも第1節に勝ったのみ。横浜FCが今季ここまで14試合で勝利を味わえたのは、その第1節の柏戦だけという苦しい状況だった。そんな状況で迎えた今季3度目の柏戦で2勝目を挙げた。しかも今回も無失点(前回は1-0)。ゴールマウスを守った市川が、試合後に振り返った。

「チームが勝ててなかったので、勝たせることができたのは素直にうれしかったです、ただ、これをJリーグでも続け、勝たせていけるようにしたい。今日は絶対に自分が勝たせるという気持ちを持っていましたし、90分を通じて後ろからしっかり鼓舞しようと考えていました」

 チーム全員の守備意識は高く、絶え間のないハードワークで相手の攻撃を未然に防いだ。「とくに危ないシーンがなく、ディフェンスが頑張ってくれました。自分自身としては、もうちょっと改善できるところもあったし、キック面とかはこれから改善していきたい」。確かに目立ったピンチはなかったが、その中でも市川は集中力を切らすことなく的確なポジショニングを取り続けた。相手のシュートがことごとく正面をついたのは、その証拠だろう。

 この試合が市川にとっては今季初出場だった。なかなか出場機会を得られない日々の中、22歳のGKは腐ることなく、自分にベクトルを向けて研鑽を積んできた。「出番がないときに、自分は人よりも練習しようと思ってきました。周りのキーパーと比べて自分は下手くそだというのを理解して、下から這い上がるという気持ちで、もっともっとという思いを持ち続けて練習に取り組んできた」。練習は裏切らない。そのことを証明した90分になった。

「(グループステージの)残り2試合。全部勝つ気でいきたいし、ルヴァンカップで結果を出すことでJリーグで出ている選手たちに危機感だったり、そういうものを与えられたら、自分たちが頑張っている甲斐がある。それに自分たちがJリーグに出られるように準備していきたい」

 勝利への意欲と競争への覚悟は、チームを内側から刺激するはずだ。市川の言葉には自身の活躍だけではなく、何よりチームを勝たせたいという強い思いが詰まっていた。