監督という立場でも、戦う気は満々である。首位を快走する川崎フロンターレに待つビッグマッチ。明治安田生命J1リーグで勝ち点3差で2位に迫る名古屋グランパスとの連戦だ。鬼木達監督は「目の前の1試合を大事に」としながらも、「こだわるべきゲーム」と強い決意を持って臨む。

上写真=名古屋との連戦を前に、鬼木達監督も気合十分だ(写真◎J.LEAGUE)

「プライドをかけて戦うゲーム」

 監督も戦うのだ。日程変更に伴って名古屋グランパスとの連戦が実現する4月29日と5月4日。ゴールデンウィークの好カードに、鬼木達監督も気合十分だ。

「こだわるべきゲームだと思っています。38分の1とか2ではなくて、順位が近いところにいて、昨年はアウェーで負けていますし、それも含めて考えたら成長していく上では必ず倒さなければいけない相手です」

 昨季はアウェーで名古屋に敗れて連勝記録を10で止められ、逆にホームでは完勝して、そのときに止められた連勝記録を再び11に更新したといういわくつきのカードだ。

「もちろん、この2試合で何かが決まるわけではありません。そのあとにもゲームは続きます。ただ、プライドをかけて戦うゲームであることに変わりはありません。他の試合でも勝ち点3の重みは変わりませんが、この連戦にどんどんとパワーを使っていきたい」

 首位を快走しているとはいえ、名古屋との勝ち点差はわずかに3だし、強力な競争相手がいなければ成長の度合いは鈍化していくこともあるだろう。その意味では、現在の名古屋は自分たちを高みに引き上げてくれる大切なライバルになる。

「強い相手であればあるほど、いろいろな面で研ぎ澄まされていきます。こだわるべきところにこだわっていかないと点は取れませんし、一瞬でゴールを取れるスキの突き合いのところを含めて成長できるタイミングだと思っています。ちょっとしたことですけど、そのきっかけでチームとしても個人としても成長できるので、大事にとらえています」

「違いを見せることが大事」

 現状の名古屋を、鬼木監督はどう分析するだろうか。

「結果にも表れているように、しっかりとした守備がオーガナイズされています。堅く進めながらも前線の個の力が発揮されていて、そのバランスはいいと思います。粘り強い戦いで勝ち点を積み上げているチームで、クリーンシートの数も多いので、本当にリスペクトしながら戦わないといけないと思っています」

 12試合のうち無失点が10あり、失点もわずか3の名古屋の堅守と、同じく12試合で30得点、無得点試合が1試合もない川崎Fの圧倒的な攻撃の激突。まさに、矛盾頂上決戦と呼ぶにふさわしい。名古屋を川崎Fがどう攻略するかは、注目のポイントになる。

「(攻略法は)なかなか言えないですけども、どちらにしてもゴールに向かう姿勢や回数を増やさない限りは相手が慌てることがないと思っています。そこの違いを見せることが大事だと思っていますし、最終的には気持ちの部分、というところになってくるのかな」

 逆に名古屋が攻めに入ってきたときの個のレベルの高さにも注意が必要だ。もちろん、個人の対決で負けずにグループでも抑え込んでいくことになるが、マテウスや相馬勇紀といったスピード自慢のドリブラーに自由にさせるわけにはいかない。

「一人ひとりがプライドを持って戦うと思うので、(ドリブルの攻防は)お互いに見せ場だと思います。攻撃の選手もやってやろうと思って向かってくるし、守備側も同じです。力のある選手と対戦して、仕留めたときの満足感はあるので、お互いに燃える場面ですよね。それも含めて、見ごたえある面白いゲームになると思います」

 何よりもこのバトルを楽しみにしているのは、負けず嫌いの鬼木監督自身なのかもしれない。