4月25日に行われた明治安田生命J1リーグ第11節の浦和レッズ対大分トリニータの一戦。逆転に次ぐ逆転で最後に笑ったのは浦和だった。浦和が先制しながら大分は前半のうちに逆転に成功。しかし後半は浦和が盛り返して、終盤に一気に2ゴール。終了直前の大分の猛攻も防いで逃げ切った。浦和は2試合ぶりの勝利で、大分はこれで7連敗。

上写真=82分、浦和はロングカウンターから最後は田中達也が蹴り込んでついに逆転(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月25日 明治安田生命J1リーグ第11節(@埼玉/観衆9,270人)
浦和 3-2 大分
得点:(浦)西大伍、槙野智章、田中達也
   (大)町田也真人2

「もったいない試合だった」と片野坂知宏監督

 浦和レッズ、大逆転! わずか3分に先制しながら大分トリニータに逆転されて1-2でハーフタイムに入る展開で、そこから一気にひっくり返したのは終盤になってからだった。

 まずは75分、セットプレーの流れから岩波拓也が右からクロス、GKポープ・ウィリアムが思い切って飛び出してパンチングしたが、その先には小泉佳穂。大分がラインを上げたその裏に優しいロブボールを送り込むと、槙野智章が飛び込んで右足を伸ばして蹴り込んだ。槙野は前半の2失点に絡んでしまっていたが、この場面でファウルを受けてFKを獲得したのも槙野だったから、まさしく汚名返上の同点弾だ。

 するとその7分後、今度はロングカウンターが見事にはまった。82分、槙野の縦パスを汰木康也が自陣で相手に奪われそうになりながらもターンして左前へ、一気に飛び出した明本考浩がドリブルで突き進むと、右から長い距離を走って中央に入った小泉佳穂の足元に流し込んだ。DFに止められかけたが残した足にボールを当ててこぼし、それを右から猛ダッシュしてきた田中達也が押し込んだのだ。交代選手がパワーを出してゴールにねじ込んでみせた。

 最終盤には大分が連続してビッグチャンスを迎えるが、GKが西川周作が立ちはだかってこのまま3-2で浦和が逃げ切る形になった。

 アディショナルタイムも含めてこのラスト20分ほどこそ特にアップテンポになったが、それまでは一進一退の流れだった。お互いにボールを持ちながら前に進みたいチーム。片方が攻めれば片方が守り、奪ったらその逆に、というターン制のような攻守から、大分に奪ったあとの最初のパスに乱れが出て浦和が回収するようになると、浦和の時間が長くなった。しかし似た者同士、お互いに狙いどころが読めるのか、にらめっこのような展開が続いた。

 ゴールも3分に浦和が左を崩して、山中亮輔の横パスを西大伍がダイレクトボレーでたたき込めば、24分には大分も左から攻めて、こぼれ球を町田也真人がシュート、相手に当たってコースが変わって同点に。すると41分に大分は伊佐耕平のプレスをきっかけに最終ラインでボールを回収、縦に早く運んで最後はまたしても町田が右足でたたき込んだ。

 大分の片野坂知宏監督は「もったいない試合だった」と反省。連敗を6で止めるチャンスだったが、最後に力尽きて「90分のマネジメントは自分も含めて選手と一緒に合わせていかなければ」と振り返ったが、2得点は第2節の横浜FC戦以来と光明も。「2点を取れたことは評価できますし、その取り方に関しても準備してきたことを選手がトライしてくれて、結果が出てよかった」と収穫をかみ締めた。

 見事な逆転勝利にこぎつけた浦和は、リカルド・ロドリゲス監督も「先制点が入ってリラックスして緩んでしまった」と反省しつつも、逆襲を結果に結びつけたことを評価。「逆転されて後半に入りましたが、全員がまた切り替えて立ち上がって入ってくれたので、盛り返すことできた」とあきらめずに最後まで戦うことを貫いた結果に満足の表情だった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE