4月20日、JリーグYBCルヴァンカップはグループステージ第3節が開催され、鹿島アントラーズは北海道コンサドーレ札幌とカシマスタジアムで対戦。松村優太と荒木遼太郎、白崎凌兵のゴールで快勝。守備でも完封し、遠藤康らを中心に安定した戦いに見せた。

上写真=ピッチ上で永木亮太と話し合う遠藤康(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月20日JリーグYBCルヴァンカップ第3節(@カシマ/観衆4,477人)
鹿島 3-0 札幌
得点:(鹿)松村優太、荒木遼太郎、白崎凌兵

指揮官も称賛。「うまくコントロールしてくれた」

 この日の鹿島は、J1リーグ前節の徳島戦からスタメンを10人入れ替えた。メンバー表には20歳の関川郁万、プロ2年目の荒木遼太郎、松村優太、染野唯月、大卒ルーキーの林尚輝といった若手選手の名前が並ぶ。そして試合が始まると、彼らが躍動した。染野は最前線で攻撃の基点となり、松村と荒木はゴールを記録。関川と林の両センターバックは勇敢に守備ラインを上げ、高い位置で相手の攻撃をつぶしに行った。

 最終結果は3-0。攻守がかみ合っての快勝劇を支えたのは、30代の3人の選手だった。キャプテンの永木亮太は闘争心あふれるプレーを見せ、GKクォン・スンテは抜群の安定感で相手の決定機を阻止。そして、右サイドで出場した遠藤康は、その戦術眼で試合をコントロールした。

「まず、勝つことを一番にフォーカスしてやっていました。初めて(試合に)出る選手もいたので、(チームが)バタバタしないようにしようと心がけていました」

 遠藤はそのように試合を振り返る。松村の先制ゴールの場面のように、チームとして積極果敢に前からボールを奪いにいく中で、遠藤は守備では的確なポジショニングで相手のパスコースを塞ぎ、ボールを持てば巧みなキープ力で攻撃の時間を作った。永木とクォン・スンテも含めた3人の働きぶりについて、相馬直樹監督は「リードしてから、重心を下げることではなく、前に行きながらも(チームが)バラバラにならないように、彼らがうまくコントロールしながら(失点)ゼロで終えてくれた」と称賛する。

 チームはリーグ戦の成績が振るわず、1週間前にザーゴ前監督から相馬監督へと交代。「監督が代わって、それでは遅いけれど、みんながすごく危機感を持っていた」と遠藤は話す。2007年から鹿島一筋で戦い続け、数々の栄光も苦難も味わってきた。今季で在籍15年目となる遠藤の言葉は重い。

「試合はグラウンドの中でやっている選手たちが、主導権を持ってやらないといけません。監督の言うことばかり聞いていたら、勝てるものも勝てなくなったりすることもあるかもしれませんので」

 勝つために必要なこととは何なのか。それを25番の背中でチームメイトに伝えるレフティーが、新たに指揮を託された相馬監督とともに鹿島を牽引していく。

取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE