明治安田生命J1リーグとJリーグYBCルヴァンカップで、多くのクラブが連戦に入る時期だ。FC東京もその一つだが、徐々に存在感を増してきたのがMF内田宅哉。直近の6試合でチャンスを得ていて、交代出場ながらフォーメーションを動かすことを可能にするキーマンになっている。その変幻自在のスタイルがチームを救う。

上写真=ここ6試合でプレーする内田宅哉。試合途中から戦い方を変えるために貴重な役割を担っている(写真提供◎FC東京)

「チャンスを促す役割を意識して」

 FC東京のMF内田宅哉は、J1リーグでここ6試合続けて出場機会を得ている。すべて途中交代だが、試合ごとに与えられる役割は違ってくる。

「最初のうちは、勝っている試合を締めるために出場する機会を与えられて、守備の部分で求められることは整理できていました。最近は負けていたり点が必要というときに出場させてもらっていますけど、まだまだ点は取れていないしチャンスを作り出す数も物足りないので、もっとやらないと」

 4月11日の川崎フロンターレ戦、17日のアビスパ福岡戦はどちらも、後者のタスクを求められた。つまり、ゴールを目指すことだ。川崎F戦では1-3と劣勢だった64分に投入され、見事に1得点。福岡戦では0-1の69分からの登場で、83分にはレアンドロのクロスをヘッドで狙ったが左に切れていった。

 同じようにゴールを目指すための交代だが、川崎F戦では内田を入れることで4-4-2から3-5-2へ、福岡戦では4-3-3から4-4-2へと、選手の配置を変えている。つまり、フォームチェンジを可能にするキーマンということだ。

 川崎F戦では右ウイングバックに入り、福岡戦では右サイドハーフ。似ているようで微妙にプレーを変えていて、ウイングバックでは外に開いておいて幅を取り、逆サイドで組み立てるときには思い切って中に入った。左からの高萩洋次郎のクロスをファーサイドでヘッドで決めた84分のJ1初ゴールは、そのパターンだった。

 福岡戦のサイドハーフではより周囲と距離を近づけて、ボールをどんどん触って動かす起点となった。

「前半、ロングボールに勝ってセカンドボールを回収することができなくて、中盤で前を向いて相手選手の間に入ることがうまくいっていなかった印象でした。だから自分が間で受けて経由したり、チャンスを促す役割を意識していましたし、自分でも点を狙っていきました。間に入ることは何回かうまくいったんですけど、ゴールにつなげられなかったのは引き続き課題です」

 試合の状況に応じて、与えられたポジションに最適なプレーを選択する変幻自在。簡単なことではない。

「川崎戦で決めることができて、でもそこで終わっちゃいけないし、もっともっと勝ちにつながるゴールを目指しているので、ゴールへの意欲が上がっています。一度決めて、ポジショニングは意識できてきているので、ゴールを決めるポジショニングを取れるように、もっともっと嗅覚を鋭くしたいです」

 J1とルヴァンカップで春の7連戦の真っ最中。過密日程だからこそ、内田の変幻自在のプレースタイルがチームの助けになる。