今季、大分トリニータから川崎フロンターレに加入した小塚和季が18日のサンフレッチェ広島戦で初出場を果たした。71分からピッチに登場し、ボール奪取への意欲と多彩なパスを披露。フロンターレ仕様にチューンアップされた姿を示した。

上写真=71分から登場し、川崎フロンターレ加入後、初出場を果たした小塚和季(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月18日 明治安田生命J1リーグ第10節(@等々力陸/観衆9,720人)
川崎F 1-1 広島
得点:(川)家長昭博
  (広)森島司

課題は守備。攻撃面では特徴を出せている

 71分、小塚はついに川崎フロンターレの選手としてピッチに立った。遠野大弥に代わって登場すると、そのまま左インサイドMFの位置に入る。そしてファーストプレーで成長を感じさせた。

 レアンドロ・ダミアン、三笘薫のハイプレスに連動して相手の右サイドバック、野上結貴の持つボールに鋭くアタック。一度目のトライでは取り切れずにかわされたが、2度追いして背後から体をぶつけてボールを刈り取り、間髪入れずに右サイドで待つ家長昭博にサイドチェンジのパスを送った。

 諦めずにボールを奪い取る力強いプレー。さらに寸分たがわぬ正確なロングパス。前者はかつての小塚にはあまり見られなかったプレーで、後者は川崎F加入以前から武器としてきたプレーだろう。

「鬼さん(鬼木達監督)からも球際の部分は言われていたので、ああいうプレーを続けていくことと、攻撃の少し違いを出せたらなと思いました」

 ボールを持った時のプレーの多彩さや正確さは、誰もが認めるところ。ただ、今季加入した小塚が初出場するまでには相応の時間が必要だった。持ち前のスキルフルなプレーを発揮するにも、川崎Fの中盤で出番を得るためには、まず守備面のタスクをこなし、強度の面で基準をクリアしなくてはならない。この日、デビューを飾ったということは、つまりは小塚は指揮官が求める基準に達し、『川崎Fの選手』になったということだろう。

 本人もなかなか出場機会を得られない中で「腐ることなく、チャンスが来たとき、ピッチでどれだけできるかを証明するために日ごろからいい準備をして、何とかチャンスをつかむことができました」と初出場までの日々を振り返った。

「僕自身の課題が守備面というのは明確になっています。そういうところをこれからどんどん良くしていきたいと思っています」

「川崎のインサイドハーフにはタフな選手が多くて、そういうのを見ていると自分はまだまだですし、ただ攻撃の面では自分の特徴を出せているので、そのバランスをうまく取りながらチームに貢献できたら」

 課題である守備面を磨き続けて出場機会を増やし、自信を持つ攻撃面を発揮してチームに貢献したいと本人は語る。この日の19分間のプレーの中では、サイドを変えるパス、テンポを変えるパス、得意のスルーパスを披露。「1対1の状況だったので得点に絡むことを意識して」プレーし、実力者ぞろいの中盤にあって、しっかり印象を残した。レンジの異なるパスの使い分けは小塚ならでは。一気に展開を変えるという点で、チームにプラスアルファをもたらす可能性も感じさせた。
 
 結局勝ち越すことができず、本人に満足感はなかったかもしれない。ただ、一歩目としては及第点ではなかったか。この日のプレーぶりなら、二歩目もすぐに見られるに違いない。