2021年4月14日、明治安田生命J1リーグ第19節が開催された。豊田スタジアムでは、名古屋グランパスとサンフレッチェ広島が対戦。攻守にアグレッシブな姿勢を貫いた名古屋がCKから丸山祐市が決めた1点を守り抜き、勝利。連続無失点記録も9試合に伸ばした。

上写真=CKに飛び込み、ヘッドで決勝点を決めた丸山祐市(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月14日 明治安田生命J1リーグ第19節(@豊田スタ/観衆7,986人)
名古屋 1-0 広島
得点:(名)丸山祐市

・名古屋メンバー:GKランゲラック、DF宮原和也、中谷進之介、丸山祐市、吉田豊、稲垣祥、米本拓司、マテウス(75分:長澤和輝)、齋藤学(56分:阿部浩之)、相馬勇紀(56分:前田直輝)、FW柿谷曜一朗(68分:山崎凌吾)

・広島メンバー:GK大迫敬介、DF野上結貴、荒木隼人、今津佑太、東俊希、MF川辺駿、森島司、柴崎晃誠(64分:青山敏弘)、浅野雄也(64分:ハイネル)、エゼキエウ(83分:柏好文)、FWジュニオール・サントス

目論み通りの先行逃げ切り

 激しくタイトな守備をベースに前からプレッシャーをかけていく。両チームともに序盤からアグレッシブな姿勢を打ち出した。素早い切り替えの応酬が続く中、均衡を破ったのはホームの名古屋だ。左CKのチャンスを得ると、マテウスのアウトスイングのボールをファーサイドで待っていた丸山がヘッドでとらえ、ネットを揺らす。ホームチームが目論見通りに前半のうちにゴールを奪った。

 広島にとって悔やまれるのは、アウトスイングの球筋と飛距離を見極められなかったことか。GK大迫は前に出たものの、マテウスの蹴ったボールに触れることができず、無人となったゴールにシュートを決められたからだ。

 リードを奪った名古屋はボールを握りながらもリスク管理を徹底し、広島に反撃のスキを与えない。守備の局面では4-4-2になり、前線の柿谷と齋藤が相手最終ラインのパス出しを制限し、ボランチの米本と稲垣が中をしっかり締めてバイタルエリアを封じた。J・サントスへのボールを通させず、サイドを攻められてもスライドとプレスバックですぐに行く手を阻んだ。

 後半開始から広島もボールを積極的に動かし、相手ゴールに何度か迫ったが、8試合連続無失点中の名古屋の牙城を崩すまでには至らない。とくに終盤は攻勢に出たが、クロスもミドルもCKでも赤い壁を越えられなかった。結局試合は、そのまま1-0で終了した。

「大分戦から中2日ですし、相手の方は中3日で、メンバーもかなり大きく代えていますので、体力的な部分で後半どうしても少し落ちる、受けてしまうという流れは予想したんですけども、前半のうちにしっかり攻めてリードできました。後半も2点目を狙うようなプレーは見せられましたし、私もそういう指示をしていました。その中で相手もゴールを狙ってきて、結果、見どころの多いゲームになったのではないでしょうか。(9試合連続無失点について)私も選手もどういう(試合の)結果を出すかを最優先しています。試合に出る選手、休む選手、それぞれがこの試合数をこなす上で助け合いながらうまくやれています。記録がどうこうではなく1試合1試合、勝つことだけを考えて、このままやっていきます」

 試合後、名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督は、先行逃げ切りを狙い、見事に実践した選手たちを称えた。体力的に厳しい後半もボールへのアプローチを怠ることはなく、高い集中力を維持。いつの間にか自分たちのリズムに引き込んで時計の針を進め、守り切ってしまうのが今の名古屋の強みだろう。今季5度目のウノゼロ(1-0)は、マッシモ・グランパスの持ち味を存分に発揮した上で成し遂げられたのだった。