セレッソ大阪のレヴィー・クルピ監督が3試合ぶりの復帰戦に臨む。新型コロナウイルスの影響でベンチ入りしなかった直近2試合、チームは未勝利。負傷者も多い苦境を、チーム全員の力で乗り切るつもりだ。

上写真=マスク姿でオンライン取材に応じたクルピ監督(写真◎スクリーンショット)

「サポーターの皆さんに感謝」

 C大阪は4月上旬、トップチームの選手と関係者が新型コロナウイルスで陽性と診断された。Jリーグ独自の濃厚接触疑い基準とクラブ独自の判断によって、クルピ監督は6日の明治安田生命J1リーグ第8節・横浜F・マリノス戦と、10日の第9節・アビスパ福岡戦でベンチ入りせず、小菊昭雄コーチが指揮を執っていた。

 自主隔離生活を経て13日からチームに合流したクルピ監督は、練習後のオンライン会見で体調について「調子はいつも通りですが、ホテルに長くいたので脂肪が溜まり過ぎた」とジョーク交じりに報告。一方で「普段できるものができなくなったときに、ありがたみが分かる。友達に会う、家族と一緒に過ごす、練習など、当然のようにあることのありがたみが、あらためて分かった気がします」と心境を語った。

 横浜FM戦は0-1で敗れ、福岡戦は前半のうちに相手に退場者が出て数的優位な状況になりながらも、2-2で引き分けた。それでもクルピ監督は「あのような形で突然、何人かの陽性者が出た難しい状況で、選手たちはできることをやり尽くしてくれたと思う」とコメント。「あの状況で完璧なものを求めるのは難しい。選手たちは勝ちたいという気持ちを最後まで出してくれたと思う」と奮闘ぶりを称えている。

 コロナ禍に加えて負傷者も多く、MF原川力、FW高木俊幸、MF坂元達裕が3月21日の第6節・湘南ベルマーレ戦で負傷して離脱中。原川と高木は全治2~3週間の診断だったが、クルピ監督は「慎重を期すためでもあるが、まだ練習には合流していない」と明かしている。

 ただ、続けて「逆に言うと他の選手たちにとってはチャンスであり、チャンスをつかんだ選手がレギュラーポジションを勝ち取れるかという、非常に楽しみな状況でもある」と語った。「こういうときに他の選手が入ることで、よりチームが強くなることは十分あり得る。監督として、そういう経験をしてきているし、今回もそうではないかと期待している」という。

 一例として、福岡戦で強烈な左足ミドルシュートを決め、J1出場2試合目で初得点を記録したFW中島元彦の名前を挙げて「持っている実力を実戦で出したことは、より注目に値する。実戦向きの選手ではないかと思う」と評した。加えて「彼だけではなく、試合に出るチャンスがなくてもチーム内で競争をして、能力の高さを示してくれている選手はたくさんいる」とチームの現状に触れた。

 14日に前倒しで開催される第18節・徳島ヴォルティス戦が自身の復帰戦となる。「サポーターの皆さんに感謝の気持ちを伝えたい。このような状況でも、わざわざスタジアムまで足を運んで応援してくださる。我々は期待に応える試合をしなければいけない」と語ったクルピ監督は、「ピッチ上で全力を尽くし、サポーターに勝利を捧げる姿勢、感謝の気持ちは最低限、見せなければいけない。そういう試合を期待してほしい」と、3試合ぶりの勝利に強い意気込みを見せた。