4月11日の明治安田生命J1リーグ第9節で、川崎フロンターレとの「多摩川クラシコ」に先発したのが青木拓矢。移籍後初めてフル出場を果たしたが、結果は2-4。しかも、自らのミスで2点目を献上する格好になった。この悔しさは、次のチャンスで晴らすしかない。

上写真=移籍後初のフル出場を果たした青木拓矢。自らのミスを悔やんだ(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月11日 明治安田生命J1リーグ第9節(@味スタ/観衆17,615人)
FC東京 2-4 川崎F
得点:(F)アダイウトン、内田宅哉
   (川)家長昭博2、三笘薫、レアンドロ・ダミアン

「自分たちのミス絡みの失点ばかりで残念でした」

 悔やんでも悔やみきれないパスのズレだった。

 8分と早々に川崎フロンターレに先制されたあとの17分、相手の攻撃を止めて最終ラインからビルドアップしていくときに、青木拓矢の中央へのパスがわずかにずれて三笘薫に奪われた。そこからレアンドロ・ダミアン、家長昭博とつながれて、あっという間に2点目を失った。

 1点目もパターンは似ていて、最終ラインでつなぎながら岡崎慎のセンターサークル付近へのミドルパスが相手に渡り、そのままゴールを奪われている。この2つのシーンを、青木は猛省するしかなかった。

「1点目はあそこじゃなくて裏返せば良かったと思います。2点目もパスコースはあったと思いますが、中に入れなければ…。こっちの後ろに重心がかかっていた感じで、そこで取られてすぐに失点してしまいました」

 超強力な川崎Fの攻撃陣にどう対抗するか。FC東京が採った策は、長谷川健太監督の言葉を借りれば「川崎相手にしっかりボールを動かさないと自分たちの時間を作れないと思っていたので、奪ったあとに動かせるかどうかを選手にアプローチしました」だった。ボール保持にはボール保持を。

 前向きに激しく寄せてくる川崎Fの守備の矢印を、ロングボールで相手の裏を突いていって逆向きにするのが「裏返す」の意味。だが、この2失点のシーンでは「動かす」に意識が寄ったのか、ボールを大事にしすぎたのは否めない。

「いつも通りならば一度蹴って裏返すことをやっていたと思いますけど、今日はそこはうまくいかずに中に入れて取られてしまいました」

 青木もそう悔やむしかなかった。

 浦和レッズから移籍してきて、この日が2試合目の先発だった。4-4-2の並びの左ボランチに入った。「後ろからつなげそうな感じがあったので、左でゲームを作ってくれと監督には言われました」というのが与えられた役割。「入りのところ以外は比較的落ち着いてできたので、だからこそ入り方をもう少し改善したいですし、とにかく悔しい」と話し、やはりあのミスがなければ、という思いが口をつく。

 それでも、フル出場を果たして戦い抜いたことは収穫だ。浦和時代の昨年11月22日、J1第28節のガンバ大阪戦以来のことだった。

「個人的にもフル出場はなかったので、勝ちたかったですし、自分たちのミス絡みの失点ばかりで残念でした」

「最初の入りのところではっきりやるということを、もう一度しっかりと次の試合に出していければと思います」

 あのミスを奪い返すには、もう一度ピッチで戦うしかない。次のチャンスに集中するだけだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE