4月7日、明治安田生命J1リーグは第8節が開催され、鹿島アントラーズは柏レイソルとカシマスタジアムで対戦。後半にファン・アラーノのパスから上田綺世が先制点を挙げるも、直後に失点。それでも、同点で迎えた試合終盤に白崎凌兵が決勝ゴールを決めた。

上写真=決勝ゴールを奪った白崎凌兵(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月7日 J1リーグ第8節(@カシマ/観衆4,550人)
鹿島 2-1 柏
得点:(鹿)上田綺世、白崎凌兵
   (柏)仲間隼斗

「今日勝ってよかった、と言えるチームじゃない」

 前節までリーグ戦3連敗。いまだ1勝しか挙げられていなかったチームに光を差したのは、79分に交代出場した背番号41だった。「残りの時間は少しだったので、チームの力になりたいと思って入りました」と、右サイドハーフのポジションに入った白崎凌兵は勝利を目指した。

 スコアは1-1。上田綺世のゴールで先制しながらも、すぐさま同点に追いつかれて試合終盤を迎えていた。リーグ戦で挙げた直近の勝利は、およそ1カ月前の3月10日の第3節湘南戦。この日も同点のまま、刻一刻とタイムアップへ向かっていたが、白崎の右足が戦局を一変させた。88分、左サイドの永戸勝也から、鋭いグラウンダーのクロスがゴール前へ送られる。

「左サイドにボールが渡ったときに、ちょっと遅れて(ゴール前へ)入っていきました。前方にスペースがあったので、打てるな、という感じでイメージはあった。永戸選手からいいボールが来て、そこまではイメージ通り」

 ピッチの中央にポジションを取った白崎は大きく両手を広げた。そして、狙い通りの場所にボールが転がり、右足を振り抜いた。「シュートはダフってしまって、ちょっとイメージとは違ったんですけれど、入ってよかったです。みんなの勝ちたい気持ちが、自分のゴールを後押ししてくれたのだと思います」。ゴールネットが揺れた瞬間、白崎は雄叫びを上げた。

「前回は本当に悔しい試合をしました。勝ちたいという、その気持ちだけ。やっぱり、もう勝つしかないということを、みんなが一人ひとり感じていました。ゴールを取れて、結果的に良かったかなと思います」

 白崎の決勝ゴールにより、鹿島は2-1で勝利を挙げた。リーグ戦では5試合ぶりとなる今季2勝目。喉から手が出るほど欲しかったであろう待望の勝ち点3を得たものの、試合後に手放しで喜ぶ白崎の姿はなかった。

「あまりボールに触れなかったので、まだまだ課題も残ります。今日勝ってよかった、と言えるチームじゃないので、ここから巻き返していかないといけない。そのスタートとなればいいです。うまくいかないときもあるけれど、そういったときに勝つことで、自分たちはもう1度前を向いてやっていける。自信になるだろうし、この次が大事。これをしっかり続けていくことが大事です」

 チームはシーズン序盤で躓いたが、浮上のきっかけとなる1勝となったのかもしれない。目指すべきところは、もっともっと上。さらなる勝利を求める白崎の視線は常に、鹿島の戦士としているべき場所に向いている。

取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE