GK丹野研太が川崎フロンターレの一員として、リーグ戦で初めてピッチに立った。明治安田生命J1リーグ第7節の大分トリニータ戦。安定したパフォーマンスと得意の声掛け、周囲とのコンビネーションで完封勝利を収めた喜びを振り返った。

上写真=川崎フロンターレの一員として初めてリーグ戦に出場した丹野研太。見事に完封した(写真◎J.LEAGUE)

「カバーに引っ張られず中にいてくれ」

 川崎フロンターレの一員として、J1リーグで初出場となった、4月3日の大分トリニータとの第7節。レギュラーGKチョン・ソンリョンが腰の負傷によって欠場、代わって登場したのが丹野研太だ。

 鬼木達監督も「たんちゃん」と呼ぶほどリスペクトを集めるキャラクター。声で味方を動かして守備を統率していくストロングポイント。昨季、川崎Fに加わって、JリーグYBCルヴァンカップでは1試合に出場していたが、リーグ戦ではこの日が初めてだ。

「(リーグ戦だということを)特に実感するということはなかったですけど、リーグ戦に関していえば2017年以来なので久々のリーグだな、ということと、ホームでやれるなというのは感じていましたね」

 昨年のルヴァンカップはアウェーの鹿島アントラーズ戦で、3-2の勝利の一員になった。このときは3-0でリードしながら終盤に2点を許したことが悔やまれた。しかし今回、大分を完封した。GK冥利に尽きる勝利だ。

 ゴールを守るGKとしてはセンターバックとの細やかな連係が欠かせないが、このクラブにはリーグを代表する谷口彰悟とジェジエウがいる。

「試合前は戦術の確認をして、試合中も相手にボールを握られる時間やサイドを使われる時間がありましたけど、中の長沢(駿)選手のところをクロスから狙ってくるので、ジェジエウとはカバーに引っ張られず中にいてくれと話していて、しっかりやってくれました」

 過去に、大分トリニータとセレッソ大阪でJ1でのプレーを経験しているが、「川崎FのGK」ならではの役割はどこにあるだろうか。

「主導権を握るゲームが増えていて、保持する時間が長いので、その中でリスクマネジメントを意識しています。大きなミスで流れを失わないのが大事だと思っていて、後ろでしっかりとしたビルドアップを含めて選択して、流れを持っていかせないようにしています」

 ブロックを敷いて対抗してくるチームが増えている。そうなるとこちらは一度、GKまで戻してからもう一度ビルドアップを始めるが、その局面でトラブルを起こせば、試合の流れそのものを失うリスクがある。それは絶対に回避しなければならない。

「押し込んでいるときに後ろに大きなスペースが生まれていて、キーパーにもカバーする役割はありますけれど、センターバックの2人が個人能力とか2人のコンビで守れている部分もあります。自分はそこでこぼれたボールとか、対応できないボールにチャレンジすることになります。そこで早くジャッジしすぎないように、ということを思っていました」

 拙速なジャッジがミスになる。それが分かっているから、久々のリーグ戦でも安定してプレーした。それこそ、日々のたゆまぬ鍛錬の賜物だった。