再開したJ1で湘南ベルマーレを迎えて神奈川ダービーを戦った横浜F・マリノス。チャンスを数多く作りながらゴールは一つだったことが引き分けの原因だが,唯一の得点を挙げたのがエウベル。来日初ゴールになった。

上写真=エウベルが65分に来日初ゴール! 笑顔が弾ける(写真◎J.LEAGUE)

「監督が信じて使ってくれたから決められました」

 勝ちたかった、が正直な気持ちだ。今季、横浜F・マリノスに加わったブラジル人FWエウベルが、リーグ戦出場5試合目の初ゴール。しかし追いつかれて、勝ち点2を取りこぼした。

「ホッとした気持ちはあるんですけど、初ゴールを勝利で飾りたかった」

 得点自体は、まさにゴラッソだった。65分に天野純が左寄りからクロス、ペナルティーエリア内で相手を背負った前田大然が左足で優しく落とすと、ボールが落ちる前にエウベルが右足を鋭く振った。ボレーシュートがきれいなコースに飛んで、ゴール右隅に吸い込まれていった。

「ゴールの近くでは、常にゴールを見ています。大然からいい落としが来たので、迷わずゴールに入れようと走り込んで、うまくミートできて決められてうれしかった」

 そしてやはり、こう繰り返すのだ。

「でも、得点はうれしいけれど、勝ちきりたかったのが正直なところです」

 ブラジル以外の国でプレーするのは初めての経験だ。不安もあった。ケガもあった。だが、それももう過去の話。

「監督が信じて使ってくれたから決められました」

「異国では順応するのに時間がかかりますが、このチーム、このサッカーにはもうできていると思います。結果として表れるのは時間の問題だと思っていたので、こうして形にできてうれしい」

 それだけの自信があるから、やはり勝利のためのゴールを決めなければならないと自分を駆り立てる。

「さらに伸ばさなければいけないのは、もっともっと点を決められる選手にならなければならないということです。これまでのキャリアでは得点を重ねることはなかったけれど、僕自身がもっともっと得点を伸ばしていきたいです。成長する点を挙げるなら得点というところですね」

 中2日でセレッソ大阪をホームに迎える。そこからまた、勝利のためのゴールを目指していく。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE